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ローカルコーヒー・オンラインショップ狂騒曲!

SISAM COFFEEの森から 第5話

「SISAM COFFEE」のコーヒー豆を届けてくれている
環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」の反町さんから
現地レポートの第5弾が届きました。

今回も、なかなか日本では詳しく報道されることのないフィリピンの今を、
詳しくレポートしていただきました。

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ソーシャル・ディスタンスを守って営業再開のフィリピン発の人気ハンバーガーショップJolibee店内も閑散としています
(写真はFB「Baguio City Yesterday and Today」より)

新型コロナウィルスの流行で3月半ばから人の移動が難しくなり「Stay Home」になって4カ月近く。

最初の2カ月は政府から社会福祉省に認められた貧困家庭にはちょっとした現金支給があったり、
我が家にもお米や缶詰の支給があったりして、得体のしれないウィルスに心底ビビりながらも、
おうちライフをそれなりに楽しんでいた感もあった楽天的なフィリピン人たち。

しかし「Stay Home」期間が2カ月をすぎ、地方政府が規制を緩めて営業を許可する業種範囲を広げ、
「あとは自助努力で頑張ってね」という姿勢に移行したあたりから、
明るいフィリピン人たちの笑顔がどんどん失われ、日々の命をつなぐのに必死の形相です。

規制が緩んだといっても、買い物にショッピングモールやスーパーマーケットに行けるのは、
いまだ一家に一人で週2回のみ(7月から3回になりました)。

レストランなどの飲食業はいまもデリバリーと持ち帰りが中心でフル稼働にはほど遠く、
一大観光地のバギオに300あるというホテルなどの宿泊施設は全面休業状態。

たとえ「営業していいよ」と言われても、バギオ市内への外部からの入場規制はいまだ厳しく、
お客さんが来るわけもありません。
もともと飲食や小売りでは非正規雇用がほとんどだったこともあり、町は失業者であふれています。

それでも生き抜かねばならぬと、フェイスブックやインスタグラムなどSNSを使って、
物々交換や、“にわか”オンラインショップがすごい勢いで増えています。

なかでも、ストレスの多い「Stay Home」で一息いれるのに欠かせないコーヒーの、
オンラインショップがすごい勢いで増加中なのです。

ここ数年、マニラの中産階級の人たちにとってレギュラーコーヒーは身近なものになってきていました。

オフィスでの仕事の合間、コーヒーでのひと時が習慣になっていた人も多かったはず。
日本並みにおいしいコーヒーを飲める高級スペシャルティ・コーヒーの店も
どんどん増えてきた矢先の、この新型コロナウィルス流行による「Stay Home」4カ月。
大好きなスタバに行けない!

ソーシャル・ディスタンスを守りながら営業を続ける
バギオ公益市場((写真はFB「Baguio City Yesterday and Today」より)

こうしてバギオでもマニラでも、コーヒーでオンライン・ビジネスを始めようという人が
続出となるわけです。

さて、ビジネスで肝心なのが仕入先であることは周知のとおり。
そりゃあもう、ソーシャル・ディスタンスしながら、営業をぼちぼち許可されている
バギオ公益市場の中の2軒の老舗コーヒー店しかありません。

歴史ある2軒ですが、農家の持ち込むコーヒーを何もかも買い付け、
それを、大型焙煎工場で焙煎し、焙煎度合いの違いによって、「バラコ」(泥臭いリベリカ種のコーヒーの呼び名)、「サガダ」(山岳地方の洞窟体験で大人気の観光地の名前)、「ベンゲット」(コーヒー産地の州の名前)、「カリンガ」(山岳地方でも最も奥地で伝統的にコーヒーを飲む習慣のある州の名前)などの名前で、販売しています。

ネーミングはまるで産地のようですが、コーヒーの種類自体は、ルブスタもアラビカも「まぜまぜ」、
精選方法も「まぜまぜ」、乾燥度合いも「まぜまぜ」、いい豆も悪い豆も「まぜまぜ」です。

ちょっとコーヒーのことを勉強して、コーヒーの微妙な味を楽しみたい人には、
おいしいわけがありません。

市場で販売されているサガダ・コーヒー(サガダ産ではありません)

今の時代、パソコンやスマホでアプリのひな形使って、それなりに素敵なパッケージづくりは、
だれにでもできちゃいます。

市場で仕入れた「まぜまぜ」コーヒーを、素敵なパッケージに入れて、
コーヒー農家から直送の「サガダ」「ベンゲット」「カリンガ」産のスペシャルなコーヒーとして販売するオンラインショップが乱立です。

そして、いきなり活況を示したフィリピンのコーヒー豆マーケットに、
ベトナムやインドネシアの品質の悪い格安コーヒー豆が大量に輸入され、
フィリピン産コーヒーとして販売されていると、
SNSでコーヒー愛好家、コーヒー焙煎家などの間では話題となっています。フィリピンでは新型コロナウィルスで苦境に立たされている「コーヒー農家を買って応援!」とうたい、
低品質の「まぜまぜ」コーヒーを、高い値段で販売するモンキービジネスが横行しているというわけです。

「そのコーヒー、ほんとうにフィリピン産ですか?」と、
トレーサビリティの大切さについて話し合うオンラインイベントも開催される

私たち環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」は
プロジェクトで生産した品質の高いコーヒーを、品質に見合った価格で農家から買い取り、
シサム工房にフェアトレードの基準に則って輸出しています(販売のための「カピタコ・ソーシャルエンタープライズ」という社会的企業を設立しています)。

日本への輸出ともに、フィリピン国内の品質を理解しているいくつかのコーヒーショップにも、
生豆での卸販売を行っています。

バギオ市内では「実はおいしいフィリピンコーヒー」を伝えるためのアンテナショップとして
カフェを運営し、焙煎したてのコーヒー豆の販売もほそぼそと行っていました。

しかしこの「Stay Home」でそのカフェも休業中。
私たちもオンラインショップでの国内小売り販売を始めました。

私たちの開設したフィリピン国内で焙煎珈琲を販売するオンラインショップhttps://yagamcoffee.com/

本物だけを販売している私たちのオンラインショップには、コーヒー好きの消費者からの注文に交じって、
リパックして販売したいという“にわか”オンラインショップからの問い合わせがひっきりなしに来ます。

たいていは価格表を送った時点で、ぱったり連絡が途切れます。
市場の「まぜまぜ」コーヒーやベトナム産の格安コーヒーに比べれば、格段に価格は高いですから。

先日、コーヒーを詰める袋を注文しようとマニラの業者に問い合わせをしましたが、
コーヒー用袋はなにもかも売り切れ!
ブランド名などを書いたステッカーを印刷しようとプリントショップに行ってもインク切れ!
まさにコーヒー・オンライン・ショップ狂騒曲です。

さて、シサムコーヒーの準備状況です。
ようやく、封鎖緩和を受けてシサムコーヒーの生産者パートナーのひとつ、
キブンガン郡からパーチメント1.5トンが到着しました!

※パーチメント:コーヒーの内果皮のこと。生豆になるひとつ前段階

しかし!
はるばる4時間かけて到着した一部パーチメントの水分率が13%台。。。(10-12%の水分率が理想です。
水分率の高いままにしておくと、倉庫で貯蔵中や輸送中にカビが発生する可能性があるのです)。
バギオでは雨季が始まっています。
午後になると、ざっとスコールがあります。
わたしたちの事務所の小さな中庭で午前中だけちびちび乾燥していたら追いつかないと、
コーヒースタッフたちは、通行パスをゲットして3時間かけて湿度の高い山を下り(バギオは標高1500メートルにあります)、
真夏の最中の下界の隣町で日帰り乾燥トリップを敢行しました(シサム工房さんからのコロナ特別サポートご寄付10万円でコストを賄わせていただきます!)。

下界は暑い。乾燥が速い。まだ乾燥が足りないようで、明日も山を下ります。
ここまでやってるのうちだけです~。ほかの人はカビるがまま。

↑山の上に位置するバギオ市からマニラに向かう途中の町でコーヒーの乾燥をさせてもらっています。

誰もが生きていくのに必死。
アジアならではストリート・ビジネスが厳しく規制されている今、
生計手段を失った人たちの“ストリート”は「オンライン」です。

コーヒー一つとっても「オンライン・ストリート」は、玉石混交の大混雑の混乱状態です。
それもなんだかアジア的でそれも面白い。応援したくもあります。

ご心配なく、私たちはクオリティ一番、ファーマーの暮らし優先、
努力が報われる適正なフェアトレード価格でおいしいコーヒーを生産するために日夜の努力を惜しんでいません。

おいしいシサムコーヒー新豆をお届けできる日も間近です!

執筆:  反町眞理子
Mariko Sorimachi

1996年よりフィリピン在住。
2001年環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」をバギオ市にて設立。
コーディリエラ山岳地方の先住民族の暮らしを守り、山岳地方の自然資源を保全するために、
環境教育、植林、生計向上プログラムなど、数多くのプロジェクトを行っている。
2017年、CGNのスタッフたちとともに、社会的企業Kapi Tako Social Enterpriseを創立。

「SISAM COFFEEの森から 1~4」は >>こちらから<<

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