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ロックダウンから5カ月。コーヒー農家さんたちの声

SISAM COFFEEの森から 第6話

「SISAM COFFEE」のコーヒー豆を届けてくれている
環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」の反町さんから
現地レポートの第6弾が届きました。

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フィリピンでは突然の封鎖から5カ月がたちました。
いったんは移動規制も少し緩和されましたが、また感染者が増えてきて、8月頭から逆戻りです。

私たちのNGOの事務所のある山岳地方の中心都市・バギオ市は129の「バランガイ」と呼ばれる地域に分かれています。

感染者が出るたびにそのバランガイごとにロックダウン(封鎖)し、感染経路などをきめ細かくトレーシングすることで、感染者の増加を抑えてきました。
その手法はセブ市など感染者が爆発的に増えてしまった行政から「お手本」として模倣されています。

ところが、ここにきて、そのバギオ市でも感染者が増加しているのです。
毎朝、バギオ市広報課によって、前日の新規の感染者の居住地によってロックダウンされるバランガイが発表されるのですが、今日(9月3日時点)は5地域にロックダウン命令が出ています。

この間まで、バランガイごとにロックダウンしていましたが、ロックダウンされるバランガイが増えすぎて主要道路などが閉鎖され、近隣のバランガイの人の生活にも支障があると、大きなバランガイでは、地区ごと、通りごとと、さらに細かくロックダウンのエリアが指定されるようになりました。

ロックダウンになるとどうなるかというと、道路に看板が立てられ、バランガイの役員や警察官が見張りに立ち、住民の人たちのそのバランガイからの出入りが禁止されます。

バギオ市では各家庭に1枚ずつパスが発行され、週2回の指定された曜日にスーパーマーケットや市場に買い物に行くことを許可されているのですが、ロックダウンされると町中へ食糧など生活必需品の買い物にさえ行けなくなるということです。

先日、街中の最大のショッピングセンターSMに行ってみたところ、ロックダウンされたバランガイからの人が町に出てこられなくなって、さらにガラガラ度を増していました。

(人気の少ないショッピングモールSM)

https://youtu.be/bpA3DBqYATU
↑バギオ市にある日本人経営のアニメスタジオ「World Anime Network」が制作した
外出制限下のバギオの様子のYouTube映像

私たちの事務所のあるバランガイもロックダウンに。
朝買い物に行った住み込みスタッフが戻ろうとしたら、事務所のある通りがロックダウンされ、帰れなくなりました。

いやはやこのままでは、どうなることやら。。。

前回のコラムで書いた生き抜くためのオンライン商売はさらに広がっていて、うちの娘の友達たちは(20歳前後)、すでにほぼ全員オンラインで何かを売っています。

お菓子、クッキー、バーベキュー、ブラウニー、古着などなど。
オンラインショップで好きなもの買うためのお小遣い稼ぎが目的の人もいるし、タクシードライバーのお父さんが収入激減で家計を助けるためという人もいます。

友達仲間で一番人気は、リアーナちゃん手作りの「Mochi」。
要はイチゴ大福のマンゴーやバナナバージョンだそうで、ほかにはないオリジナリティで人気沸騰中。新商品で「ヤクルト」と「クッキー&クリーム」入りの大福の発売をインスタグラムで告知したら、予約であっという間に売り切れだそうです。

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さて、山のコーヒー農家さんたちの暮らしは、この5カ月でどうなっているのでしょうか。
私たちのコーヒー生産パートナーの4つの村の人たちに、携帯電話のショートメッセージとフェイスブックのメッセンジャーで「新型コロナウィルスの流行で暮らしにどんな影響がありましたか」と聞いてみました。

●ラ・トリニダード郡タリングロイ村のロジャーさん(コーヒー農家)

“このウィルスの流行によって、買いたいものを買ったり、栽培した農産物を売る自由がなくなってしまいました。それだけではありません。友達に会うこともできません。お祝いや冠婚葬祭などで集うことさえできなくなってしまいました…。”

(ロジャーさんの家族。イバロイ族という先住民族です。右端がロジャーさん)

 
●カパンガン郡サグボ村のジャネットさん(サグボ村の農家組合DFACのマネージャー。地域の小学校分校の先生)
”私たちの生活は通常の生活とは全く違ってしまいました。
農家として毎日の農作業はできますが、野菜の価格には大きく影響が出ています。おもな生産物のサヨテ(はやとうり)の価格は以前は1キロ15-20ペソだったのが、今では3-4ペソです。新型コロナウィルスの影響でマニラからの野菜のバイヤーが限られていることが、価格暴落に影響しているのだと思います。”

(休校前の学校の様子)

”私の抱えている問題は、休校が続いていて5人の子供たちにどうやって家で教えていくかということです。私は小学校の先生をやっていて、一斉休校で生徒がいなくても学校に授業が開始されたときの準備のために出勤しなくてはならず、夫が1人で家で5人の子供たちの面倒をみなくてはなりません。まったく手が足りません。
私が先生をしているのはアンポンゴット集落にある小さな分校なのですが、学校再開に向けてモジュールの準備と家で生徒が学習するためのプリントを用意しています。学校にはプリンターが1台しかなく、先生たち皆で使っていますが、とても足りません。この場を借りて、どなたかプリンターを寄付していただけないか、お願いさせていただきたいと思います”

●トゥブライ郡バアヤン村のデクスターさん(農家組織BOFPA。バアヤン・バランガイ役員)

”私たちの暮らしはまるでマヒしているかのように動きが止まってしまっています。コーヒーは年に一度しか収穫できないので、コミュニティの人々はコーヒーの収穫時期を待っているあいだ様々な野菜を植えています。それをラ・トリニダード町やバギオ市で販売してきました。今は新型コロナウィルスの流行で移動が制限されていて、コミュニティの中の車を持っている限られた人がバランガイや町から通行証をとってコミュニティ内で採れた野菜を販売しています。
野菜の価格は暴落しています。きゅうりは以前は1キロ15-20ペソだったのが5ペソ、サヨテは15ペソだったのが3ペソに、豆は20-30ペソだったのが10ペソになっています。

驚くべきことに、値段があがっているのはサボテンなのです。
サボテンは食べられないのにどうしてなのでしょうか…。”

(バギオの街中の商店の店先にも、サボテンや観葉植物が。)

外出できない都会住まいの人の間では、ベランダや庭でサボテンなどの観葉植物を育てるのがブームとなっているのだそうです。
そういう人たちのことを呼ぶ「プランティータPlantita」という新語さえ生まれていて、SNSでグループを作って、盛んに情報交換をしています。明日は飢えるかで戦々恐々の山の村の人たちには、何で食べられないサボテンをありがたがるのか想像もできないことなのでしょうね。

●キブンガン郡サグパット村のアーノルドさん(農家組合SFACのプレジデント)

“買い手が少ないためか、サヨテなどの野菜の価格は大きく下がりました。以前は1キロ10ペソ以上でしたが今は5ペソ以下です。新型コロナウィルスの流行で移動が制限されたために、生活必需品を購入するために町へ行くことができなくなりました。そのため、運搬コストが上がり食品や農業に使う資材などの価格も上がっています。サグパット村の農家の暮らしは厳しくなる一方です。

(キブンガン郡のアーノルドさん)

ところで、コーヒー栽培地ではコーヒーの緑の実がたくさんついていて、昨年より収穫量が多くなりそうです。
今後、台風の影響を受けないことを祈っています。お願いなのですが、もし可能であれば、収穫したコーヒーの皮をむくためのパルパーを追加で寄付いただくことはできるでしょうか?
いまある皮むき器の数では、点在している農家が共有して使うのが難しいです。よろしくお願いします。”

***

あれよあれよという間に9月のはじまり。
コーヒーの木は新型コロナウィルスの流行なんて我知らず。今日もすくすく育っています。
2カ月後にはコーヒーの実は少しずつ赤く色づき始め、11月には収穫できるまでに熟するものも出てくるでしょう。
野菜の価格が暴落する中、コーヒーからの収入に希望を託す農家も増えています。

シサム・コーヒーの販売益の一部は、フェアトレードのプレミアム(奨励金)として、パートナーのコーヒー農家さんのコーヒー栽培や暮らしのサポートに使われています。

「買って応援!」
よろしくお願いいたします!

執筆:  反町眞理子
Mariko Sorimachi

1996年よりフィリピン在住。
2001年環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」をバギオ市にて設立。
コーディリエラ山岳地方の先住民族の暮らしを守り、山岳地方の自然資源を保全するために、
環境教育、植林、生計向上プログラムなど、数多くのプロジェクトを行っている。
2017年、CGNのスタッフたちとともに、社会的企業Kapi Tako Social Enterpriseを創立。

「SISAM COFFEEの森から 1~5」は >>こちらから<<

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