
ハンディクラフトという魔法の言葉
~作り手とつながる8つのお話 第7話~
ネパールで古くから焼き物を作りつづけている工房「ティミセラミック」。
ラクシュミさん(48)は、父親から継いだ陶芸を続けて、30年が経つ。

「僕は生まれた時から、陶芸家だ」
そう話すラクシュミさんは、まさにプロの職人として生きてきた。

ネパールの粘土と、インドの陶石を合わせて仕上げるマグカップは、
石の強さと土の素朴さが、手に持つだけで伝わってくる。
石、土、火といった自然の力を借りて、人間の手で作り上げるシンプルなものづくり。
だからこそ、彼の熟練された技と豊富な経験が必要とされる。

それでも、ちょっとした作業の跡や、釉薬の凹凸が残ることもある。
ヨーロッパを中心とした海外では、それを「個性」という言葉で喜び、
手仕事の証として、かえって重宝されることが多いそうだ。
一方で、日本では「不良品」として、なかなか受け入れられないのが現実だ。
私たちは、均一で完璧なものが並ぶ世界の景色に、
いつのまにか見慣れてしまったのだろうか。

現地で、ラクシュミさんと商品づくりについて話し合ったスタッフは、
彼のある言葉が忘れられないと話す。
「僕たちには”ハンディクラフト”という魔法の言葉がある。
ゆがみや、いびつさ、ずれ、傷。
それをすべて”ハンディクラフトだから”という理由で
逃げてしまうことができるんだ。
でも僕はその言葉に逃げたくない。
より良いものづくりができるように、努力を続けていきたいと思う。
ただ一方で、使ってくれる人たちにも、知ってほしい。
決して機械が作っているんじゃない。
誰かの手によって、作られているんだということを。」

私たちは彼らと共に、これからもものづくりを続けていく。
ハンディクラフトという魔法の言葉。
その言葉の持つ本当の可能性を信じて。
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タニ
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