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今月のSISAM COFFEEだより

一杯の美味しさの向こう側。

海を越えて、山を越えて、いざフィリピンの山岳地方へ。
現地の「今」と私たちの「今」をつなげる、SISAM COFFEEだよりです。

たくさんの作り手とともに美味しいコーヒー豆を届けてくれている
環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」の反町さんより
今月のお便りが届きました。

1月 クラファン目標達成ですが・・・

シサム工房とコーディリエラ・グリーン・ネットワークが((CGN)行ってきたクラウドファンディング「世界のみんながしあわせになるコーヒー」は、第二フェーズを2022年1月7日に終了いたしました。

第一、第二フェーズを合わせて209名ものソーシャルペアレンツ(寄付者)の方から合計2,718,157円の支援をいただき、
目標額の2,650,000円を達成することができました。

また、64名のレコメンダー(推薦者)の方々からあたたかい応援メッセージをいただきました。
さらに、シサム工房が昨年実施しました「パルパーチャレンジ」で
シサムコーヒーを店舗やオンラインショップでコーヒーを購入することでサポートいただいた方々もたくさんいらっしゃいました。

新型コロナウィルスの感染がなかなか収まらない不安な日々の中で、遠く海の向こうの小さなコーヒー農家の暮らしと森に想いを馳せ、
行動を起こしてくださった皆様に心より感謝を申し上げます。

フィリピンでは現在フェーズ1と「パルパーチャレンジ」からの寄付金で活動を開始し、パルパー9 台を農家さんと農家さんの組織に配布しました。

これから、乾燥トレイの配布、簡易な乾燥施設の建設、ハラー(パーチメント除去機)の配布などを行っていきます。

こちらフィリピンの山岳地方では12月よりコーヒーの収穫が始まりました。
しかし、驚くことに前年の10%ほどのコーヒーしか実をつけていない大凶作となっています。

(この木はたった一つの赤い実!)

コーヒーはあの赤い可愛い実をつけるために、木が擁しているたくさんの養分を実に送り込みます。
例年、一生懸命実をつけたあとのコーヒーノキはもうへとへとで疲れ切っています。

それでも次の年にも実をつけるために、土壌が含む養分、雨期の雨の恵み、太陽の光を取り入れ、半年後には白い可憐な花を咲かせ実をつけます。

今回は、たぶん「1回休み!」というコーヒーノキの休憩期間なのだと思います。
人間同様、植物を含む自然にも休む時間が必要です。化学肥料や栄養剤を足して無理やり実をつけさせずに、ゆっくりとコーヒーノキにも休んでもらうのが自然の摂理だと思っています(同じくオーガニック・コーヒーの産地である東ティモールのコーヒー関係者に聞きましたが、やはり6-7年おきにほとんど実がならない年があるそうです)。
もうひとつ、いま世界中で叫ばれている「気候変動」の影響もあるかもしれません。

(反町も収穫の手伝いに行くも、実が少なくてあっという間に終わってしまう。)

コーヒーノキに関しては以前より「2050年問題」というのがコーヒー産業に関わる人の間で取り沙汰されています。
気候変動の問題で2050年には現在のコーヒー産地でコーヒーが栽培できなくなるのではないか?というのです。

実際、昨年は一大産地のブラジルで霜害、コロンビアで長雨でコーヒー生産量が激減しました。
「えっ?コーヒーが飲めなくなるかもしれないの?」
「もしかしたらコーヒーの値段が上がっちゃう?」
とコーヒー好きの人たちの驚きの声が聞こえてきそうですが、もっと大変な問題があります。
わかりますか?
世界中でコーヒー生産に関わる2500万人ともいわれる小さなコーヒー農家が仕事を失うことになるのです。

もしかしたら、そっちのほうがずっと大変なことではないでしょうか?

今回の大凶作を目の当たりにし、モノカルチャー(単一栽培)の恐ろしさを実感しています。

モノカルチャーでは生態系が失われ病害虫被害で作物が全滅する可能性があること、地力の低下により化学肥料に頼らざるを得なくなる可能性があることなどに加え、
人間の力ではどうにもならない自然災害が起きてその作物が被害を受けた時に農家の暮らしは瞬く間に立ちゆかなくなるのです。

私たちはフィリピン先住民の人たちが自給のための様々な作物とともにコーヒーを植え続けてほしいと思います(アグロフォレストリー=森林農法)。

そうすることで気候変動による災害にも屈しない、コミュニティとそこに暮らす人びとのレジリエンス(困難などに適応する力)が高まっていくと考えています。

==
コーヒー2050年問題についてより深く知りたい方はこちらGigazineのニュース記事を参照してください。

https://gigazine.net/news/20200812-global-coffee-crisis-coming/

////////////////

執筆:  反町眞理子
Mariko Sorimachi

1996年よりフィリピン在住。
2001年環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」をバギオ市にて設立。
コーディリエラ山岳地方の先住民族の暮らしを守り、山岳地方の自然資源を保全するために、
環境教育、植林、生計向上プログラムなど、数多くのプロジェクトを行っている。
2017年、CGNのスタッフたちとともに、社会的企業Kapi Tako Social Enterpriseを創立。

12月 ついにパルパーを届けてきました

夏に開催していただいた「パルパーチャレンジ」キャンペーンとクラウドファンディングで
たくさんの方から応援いただいたお金で、ついにパルパーを購入しました。

パルパーは遠くミンダナオ島ダバオ市から、2週間をかけて先週バギオに到着。
さっそく一つ目のサポート先であるキブンガン町サグパット村のコーヒー農家に届けてきました。

サグパット村はバギオ市から車で約3時間半のかなりの山奥にあるサヨテ(はやとうり)の産地の村です。

実はサグパットの村では9月に新型コロナウィルスの感染者が爆発的に増え、
ロックダウン(封鎖)というもっとも厳しい措置が1か月も取られていました。

幸い現在、感染者は減っていて、日帰りならば居住者以外も訪問可能になりました。

バギオ市内でエコショップを営むピアコス・ファミリーと、写真家ニコさんをお誘いし、
私たちのNGOのスタッフとともに、ほんとうに久々のサグパット村訪問を行いました。

村ではジョセフ&カメリータ・シアットさんのご家族が私たちを迎えてくれました。

収穫が始まったばかりのサグパット村。
シアットさんの家の庭にもナチュラル・プロセスで加工されたコーヒーのチェリーが乾燥されていました。

「どうしてナチュラル製法でコーヒー豆を加工しているのですか?」という私たちの質問に、
「そっちのほうがおいしいから」とカメリータさんは恥ずかしそうに答えました。

いえいえ、そうじゃないと思います。
大変だったんです。本当に。杵と臼で皮をむくのが。

お届けしたパルパーは、ジョセフさんがうれしそうに箱を開けて組み立ててくれました。
そして、その朝にカメリータさんが収穫したコーヒーチェリーを使って、試験運用をしました。

もちろん私たちのスタッフは、ウォッシュド製法のプロセスをていねいにカメリータさんに復習講習しました。

「これでコーヒーの収穫後の加工作業が本当に楽になります。どうもありがとう」

心のこもったお礼の言葉とともに、コーヒーの木と一緒に植えられているレモンと新鮮なクレソンを山ほどお土産にいただきました。

応援いただいた皆様、どうもありがとうございました。

―――

クラウドファンディング「世界のみんながしあわせになるコーヒー」第一フェーズからの送金額は
1,224,927円(ペソにすると494,968ペソとなります)。

また、皆さんにご参加いただいた「パルパーチャレンジ」でのコーヒー売り上げからの寄付212,785円(93,625ペソ)を受け取りました。

クラウドファンディングでは引き続き第二フェーズの資金調達中です。
ご協力よろしくお願いいたします。

詳細とご寄付はこちらから↓
https://spin-project.org/projects/73

11月 山岳部のコーヒー生産地でのコロナ感染拡大

(ロックダウン中の集落のコーヒー農家の方たち)

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)のコーヒー倉庫と苗場と作業場のある集落では、
8月以来8人の方が新型コロナで亡くなりました。
都市部での感染拡大から1年遅れです。

地方自治体政府でも感染拡大を抑えるために、感染者が出ると濃厚接触者を対象にPCR検査をします。
そして陽性者には自宅から外出禁止となり2週間の隔離となります。
しかし、日銭暮らしの貧しい村の人たちは、あっという間に毎日の食事にも困るようになります。
背に腹は代えられないと、調子の悪いのを隠して働きに出ます。

どこの国でも共通しますが、まずはお年寄りから感染の犠牲になりました。
先住民族の文化では亡くなった方とのお別れにあたって、日本の通夜のような風習で亡くなった方との思い出を語り合います。
それは先住民の方にとっては、何があってもおろそかにできない大切な儀礼です。
コミュニティで亡くなった方たちの通夜やお葬式で感染が拡大していったと思われます。

山岳地方では病院が少なく、比較的町から近い私たちの倉庫がある集落でも、一番近い病院まで1時間はかかります。
また、ロックダウンから1年半がたち、貧しいコミュニティではどこの家庭でも現金が底をついています。
そして、昨年来、公共交通機関はなくなったままなので、病院に行くにも、それなりの金額を払って車をチャーターしなくてはなりません。
少し具合が悪いくらいでは誰も病院には行きません。行けません。

(酸素補充を待つタンク)

そして、新型コロナの特徴で、あれよあれよという間に急に症状が悪化し、呼吸が苦しくなります。

そこで初めて自治体の保健課やその付属のクリニックに連絡がいくわけですが、
病院に連れていく間に緊急で使う行政の酸素ボンベはすでにすべてが自宅療養者に貸し出し中で、
そのまま自宅で亡くなる人も出ているとのことです。

(タンクの値段表)

酸素ボンベの価格は高騰し、平常時の3倍に。
酸素の補充に長い行列ができることもあるようです。

1本の酸素の補充にかかる金額は、最小単位の3リットルでだいたい彼らの日当くらいの金額とのことで、
決して安い金額ではありません。

この感染が徐々にこれ以上山奥に広がっていかないことを祈るしかありません。

CGNでは、酸素タンクをコミュニティに送るための寄付の募集を始めました。
ご協力どうぞよろしくお願いいたします。

≪クレジットカードでのご寄付≫
https://syncable.biz/associate/cordilleragreen/donate/

≪銀行振込み≫

広島銀行 向島支店(097)
口座番号:3077610
口座名:コーディリエラグリーンネットワーク日本事務局

10月  ラジオで学ぶコーヒー栽培

ここコーディリエラ山岳地方では、パンデミック前までは先住民の人たちの暮らしの向上のために
政府主催でさまざまなセミナーが行われていました。

しかし、昨年3月以降、感染拡大を防ぐため移動や集会規制が続いており、それらもすっかりストップしています。
そこで農業省が積極的に進めているのが、農家向けの「スクール・オン・ザ・エア」。
北ルソンで広く話されているイロカノ語の地方ラジオ局を使っての農業セミナーです。

(DZWTは人気のイロカノ語のラジオ局です。番組はライブなので緊張気味のリリーさん。)

2021年7月からはベンゲット州の農家を対象に、約3か月のコーヒー・コースも開始されました。
週3回、毎回約30分のラジオ番組を聞いて、コーヒーの栽培から加工、マーケティングまでを学びます。

さて、私たちのNGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」のフォレスター(森林官)であるリリーさんは、
講師としてこのラジオ番組に呼ばれています。

担当するのは2つのテーマ。
一つ目は「収穫後のコーヒーチェリーの精選方法」。
そしてもう一つは「コーヒー生豆の等級付け」です。

リリーさんは国際的なコーヒーの品質評価資格「Qグレーダー」を持っている
コーディリエラ出身のたった二人の先住民のうちの一人なのです。

(コーヒーの香味を評価するカッピング講習会の様子。右がリリーさん。)

ラジオなので誰でも聞けますが、事前に登録すると、最終回に行われるテストに参加できます。
それに合格したら、国のTESDA(技術教育技能開発庁)から修了証をもらえるのです!

このプログラムは、農業省コーディリエラ事務所がパンデミックで都会から山の村に戻った多くの若い人たちに、
コーヒー栽培に関心を持ってもらいたいと企画したとのこと。
ベンゲット州の10の郡からの登録者はなんと156人!

日本では「オンライン・クラス」「ウェビナー」ですが、インターネットの通信状態が悪い山岳地方では、
まだまだラジオが大活躍です。

それにしてもラジオを使ったテスト。いったいどうやってやるのでしょう?

出題はラジオの生放送でされ、回答は携帯電話のショートメッセージ(こちらではテキストと読んでいます)で送るのだそうです。
参加者156名の回答が一気に!
混乱せずに採点するのが大変そうですね。

(2018年にCGNが開催したカッピング講習会の様子。
農家の人や、政府の農政課の人も参加。先生はドイツ人のコーヒー専門家の方です。)

9月 決死のコーヒー苗木配達隊、無事帰還!

コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、昨年から継続して2つのアグロフォレストリー(森林農法)プロジェクトを行っています。

COVID-19の移動規制で、隣の州で始めたプロジェクトは事業地に苗木を運ぶことができず、事業期間を延長しました。
植林は雨季にしないと根っこがつかず枯れてしまうことが多くあります。
植林は雨に打たれながらやるのが、基本なのです。

(苗木をトラックから降ろす作業)

さて、こちらフィリピンも雨季に突入です。

今年は例年より雨が少ないようですが、1年延長した植林をこの雨季中に終わらせなければなりません。
プロジェクト担当の森林官のマイラは、事業地のタジャン町の許可を得て、3000本の苗木とともに決死の苗木配達の旅に行ってきました。

なぜ決死かって?
バギオから事業地のタジャンまで片道5-6時間かかるわけですが、パンデミック規制で隣の州での宿泊は許されておらず、24時間以内に帰ってこなければならないのです。

つまり、3000本の苗木をトラックに積んで、いくつもチェックポイントを通りながら5時間くねくね山道を走り、3000本の苗木を積み下ろします。
それだけでなく、昨年届けた苗木がちゃんと植えているか、育っているかをチェックして、またまた5時間かけて帰ってくるというわけです。

(ちょっと意外な気がするかもしれませんが、バナナとコーヒーを一緒に植えています)
早朝4時に出て、夜11時半に無事帰ってきました。よかった。

写真で見ると、1年間苗場でスタンバイしていた苗木は少々育ちすぎちゃったみたい。
大丈夫かなあ。ちゃんと育ちますように。

8月 東ティモールの手作りパルパーに続け!

トゥバ郡というところに、コーヒーセミナーに行ってきました。

講師は、森林官(フォレスター)の国家資格をもち、コーヒーに関しては香味の評価に関する国際資格Qグレーダーをもつリリーさん。

リリーさんのプレゼンは、苗木づくりから、古木の剪定の仕方、収穫後の加工まで、農家のリクエストに答えてあらゆる分野に及びます。
そのプレゼンのなかで、参加者のかたが、「おおっ」とざわついたのが、収穫したコーヒーの果皮をむく東ティモールの木製のパルパー(皮むき器)が紹介された時です。

(講師のリリーさん)

「これは木製ではないか?」
「これなら作れそうじゃない?」
「設計図ないですか?」
パルパーがない中、フィリピンの多くの農家さんは臼と杵という、米作りに使っていた道具でコーヒーの皮むきと殻取りの作業を手作業で行っているのです。
大変な重労働です。

(東ティモール製のパルパー)

実はこの東ティモール製のパルパーの作り方を学びに、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、3人の農家さんと一緒にはるばる東ティモールまで行ったことがあります。
2016年のことです。

東ティモールの高地にはポルトガルの植民地時代に植えられたコーヒーノキがたくさんあり、それらは外貨を稼ぐことのできる数少ない作物です。
加工後の機材が不足する中で試行錯誤を繰り返し、農家の人たちが編み出したのが、この木材と廃品で作ったパルパーというわけです。
3人の農家さんは2日間じっくりかけで、村の名人からパルパーづくりを学びました。

パルパー作りの要は皮をひっかけてはがす金属部分。
ドラム缶の廃品を材料として作っていました。

3人の農家さんはさっそくフィリピンに戻ってきて、習ったパルパーを手作りしました。
近隣の人に作り方を教えたり、注文を受けて作ってあげたりしています。
CGNでも3人の農家さんを講師に呼んで、パルパーづくりの講習会を実施してきました。

それでも、ぜんぜんパルパーは足りないのが現状です。

収穫量が増えてきて、臼と杵の手作業ですべての収穫したコーヒーを処理できなかったり、収穫自体をあきらめる農家も出てきたのです。

そこで、シサム工房とCGNで農家にコーヒー加工の機器を贈るプロジェクトが始まりました!

↑これが今度のプロジェクトで送る予定のパルパーです。
皆さんのご参加を、お待ちしております!

詳しくは > こちら <

クラウドファンディング特設サイトは > こちら <

 

7月 コンペ受賞豆のオンライン・オークション

フィリピンでは、コーヒー市場を盛り上げるために数年前からコーヒー品質コンペティション(PCQC)が開かれています。

農家にコーヒー豆のサンプルを提出してもらい、国際的なコーヒー組織CQIの協力を得て、審査員が国際基準に則ってコーヒー豆の品質順位をつけるというものです。

今年も受賞者がアラビカ種部門、ルブスタ種部門でそれぞれ5月に発表になりました。

アラビカ種部門は上位11人が発表になりましたが、優勝以下4位まではミンダナオ産のコーヒー。
5位から11位までのうち5つにコーディリエラ産のコーヒーが食い込みました。

↑コーディリエラ産では最高得点をとったコーヒー農家。

さて、今年のコンペでの新しい試みは、オンラインのオークションで受賞した豆を販売するというものでした。

6月26日に行われたオークションの結果は驚くべきものでした。
コンペティションで1位を取ったアラビカ種の1キロ当たりの落札額は52.20ドル。
日本円で5700円以上の値が付いたのです。

落札者はフィリピンの人でしたから、国内産のコーヒー豆へのエールという気持ちもあると思います。
https://auction.pcqc.coffee/en/

「すごい値段がついてよかった」と思う一方で、少し複雑な気持ちになったのも事実です。
優勝したコーヒー農家と同じくらいの努力をして、コーヒーを栽培し加工している農家もたくさんいます。

SISAM COFFEEを生産している農家の人たちもそうです。
でも、1キロ5700円でコーヒーを販売できるわけではありません。

オークションはある種のお祭りみたいなもので、勢いや場の雰囲気でどんどん入札が進んで値が上がります。

大事なことは、農家の人たちの暮らしを長期的に安定して支えることのできる、持続可能なコーヒーの取り引きです。

もし、SISAM COFFEEの生産農家の人が「来年このコンペに参加したい」と言ったら「ぜひ挑戦してみて」と応援します。
でも、同時に、地道に努力を続けているそのほか大勢の農家の人たちを忘れません。

私たちはそういうフェアトレード・コーヒーをSISAM COFFEEとしてお届けしています。

6月 産地ではコーヒー「新豆」集荷の真最中!

ルソン島北部山岳地方でのコーヒーの収穫は、2月までです。

コーヒーの実はさくらんぼのような赤い実なのですが、
それを日本に輸出するための「生豆」(「なままめ」と読みます)にするには、
選別から乾燥まで、大変な手間と時間がかかります。

ようやく乾燥ができてすぐに出荷できるかというとそうではなく、
倉庫でしばらくの間、殻(パーチメントと呼ばれています)のついたままの状態で
「寝かす」(英語でキュアリングCuring)必要があります。

そうすることで、一つの袋に入っているコーヒー豆の品質が安定し、品質が保たれたままで輸送や貯蔵が可能になるのです。

コーヒーの収穫は1年に1回ですから、少なくとも1年間は「美味しさ」をキープしなくてはなりません。
キュアリングを終えたコーヒー豆は、出荷前に殻を剥き、農家さんが欠点豆を一粒ずつ手で選別します。

こちらの写真はシサムコーヒーの産地の一つ、カパンガン郡サグボ村での私たちの集荷の様子です。

農家組合の代表のジャネットさん(写真中央女性)が立ち会い、
一袋ずつ乾燥や選別がきちんとされているかをチェックします。

収穫が始まってからすでに半年。
ようやく「新豆」が完成したというわけです。

農家の人たちもちょっと名残り惜しいような表情で、
ミニトラック(フィリピンではジプニーと呼ばれています)で運ばれていく
手塩にかけて生産した生豆たちを見送っていました。

 

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執筆:  反町眞理子
Mariko Sorimachi

1996年よりフィリピン在住。
2001年環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」をバギオ市にて設立。
コーディリエラ山岳地方の先住民族の暮らしを守り、山岳地方の自然資源を保全するために、
環境教育、植林、生計向上プログラムなど、数多くのプロジェクトを行っている。
2017年、CGNのスタッフたちとともに、社会的企業Kapi Tako Social Enterpriseを創立。

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