600日の旅
「めぐる」 第 1 話
2021年秋冬コレクションのテーマは、「めぐる」
SDGsやエシカルという言葉が身近なものとなった近年だからこそ、
フェアトレードのものづくりの中で、sisamらしいメッセージを伝えたい。
50年後、100年後の未来のために、
私たちがいま、足並みをそろえて目指そうとしているもの。
それは決して新しいことではないと思う。
あらゆるモノを最後の最後まで大切に使うこと。
糸を紡いだ生地から服を作り、着られなくなった服が、また布地として使われる。
私たちの母や、そのまた母たちが「生活の知恵」として紡いできた営みだ。
そしてそれは、自然の摂理とも深く折り重なっているように思う。
秋に冬支度した樹木は、木の実や葉を落とし
大地に栄養を与え、冬に蓄えられた命がまた芽吹いていく。
一つとして無駄な命がない、この世界の静かで雄大な循環。
大きな大きな円を描くように、私たちの世界を包む「めぐる」。
そして、ごく日常のなかにある、小さく愛しい「めぐる」。
それをアジア各国のパートナーと、素敵な形にすることができたなら。
きっとだれかの日々の喜びにつながるはずだ。
こうして、コレクションのデザインが本格的に始まった2020年1月。
sisamにいる5名のデザイナーが、「めぐる」という言葉にそれぞれの想いを込め、
ものづくりのスタートラインに立った。
しかしその数か月後、世界がパンデミックに覆われることになる。
度重なるロックダウンで、手探りのなか日々を生きる人々。
それでもアジア各国のパートナーは懸命にできることを考え、
ものづくりのバトンを繋いでくれた。
「フェアトレードの仕事が、一筋の希望の光です。」
あるネパールの女性が送ってくれた言葉を、どれほど多くのパートナーが感じていただろう。
そして、スタートから1年8か月が経った今年の夏、
150種類のアイテムが、無事に私たちのもとへと届いた。
約600日の長い長い旅。
インド、ネパール、インドネシア、タイ。
ものづくりの旅路に関わった数えきれない人々の力と想いが、
今回のコレクションの実現を叶えてくれた。
さぁここからは、私たちが伝える番。
まずは6つのお話を。
ここからは、sisamのデザイナーが語る
さまざまな形の「めぐる」をお届けしたい。
FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
タニ
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