麦の一生
「めぐる」 第 6 話
デザイナー・タカハタの休日の楽しみは、パンづくり。
ふわふわのパンを口いっぱいに頬張る。
「食」は、いつだって私たちの日々に
幸福と力を与えてくれる。
今回のコレクションで、初めて手刺繍のデザインを担当することになったタカハタ。
テーマは「めぐる」。
作り手であるインド・カラティマクの人々や私たちの日々のめぐりを、
どんな風に表現しようか。
命が力強くめぐっていくこと。
その中心にあるのは、やっぱり「食」だと思う。
インドの作り手たちの食卓を頭に描いてみる。
そこには焼きたてのチャパティが並んでいる。
そして街や村のあちこちで、美味しそうなプーリーが売られているはずだ。
原料である「小麦」は、日本で暮らす私たちにとってもまた身近な存在だ。
そうだ、「麦の一生」を彼女たちの手刺繍で表現してみたらどうだろうか。
種から芽が出て、やがて実りを迎えたあと、また大地に種が落ちる。
シャラシャラと風の音を鳴らす麦たちの一生。
それを一つ一つ刺繍のデザインへと移していく。
刺繍村の作り手たちは、見事にそれを生地のうえに描いてくれた。
デザイン発表の際には、あちこちでスタッフたちの感嘆の声が聴こえるほど、
素敵な表情のワンピースが仕上がった。
ウエストの位置や細部に光る細やかなデザイン。
手刺繍は言わずもがな、インドの縫製チームの腕が鳴る美しいピンタック。
そして、とても嬉しいのは、それがガーゼ生地で作られていること。
特別な日の一張羅としても、胸をはって出かけられる一着。
でも実は部屋のなかでも、気持ちよくおしゃれを楽しむことができるのだ。
そのままソファに寝転がって本を読んだり、一人でワルツを踊ってみたり。
襟元では、麦たちがいつもサラサラと美しい音を奏でてくれている。
時と場所を選ばず、ドラマティックな自分と出会えるワンピース。
この秋冬、たくさんの人の胸をときめかせる、カラティマクの自信作だ。
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タニ
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