わたしのsisamものがたり4

出会いが導く明日

毎日、毎日。
見渡せば、ささやかな出会いに溢れている。

今日言葉を交わしたあの人。
ふと街で見かけたあの人。
本の中から語りかけてくるあの人。

そんな一つ一つの出会いをどう受け止めるのかで
自分の未来は、知らない間に少しずつ変化していくのだと思う。

大阪で暮らすKさん。

彼女も、そんな一つの出会いから未来の色を変えた一人だ。

“10年前に一緒に仕事をしていた方で、
当時で50代くらいかな…。

その方の服装が、とってもエレガンスで…。
本当に素敵に着こなしていたんです。

思い切って聞いてみたら、そのブランドのなかの一つが
sisamさんだったんです。”

Kさん、当時20代の頃だ。

あぁ、いつかこんな服を着てみたい。

その想いは、10年後に実ることになった。

“30代になり、それなりに落ち着いた服を着たくなって。
自分のファッションが、変化してきた時期です。

そこで、sisamさんのお店に初めて行ってみたんです。

最初に手にとったのはオーガニックコットンのカーディガンでしたね。
ナチュラルですごく可愛くて。”

“そのあと、バッスルスカートも！なんといっても究極のフリーサイズ！
これや！と思いました。

当時は、フェアトレードってなんぞや？ってくらいで。

とにかく質より量。
2000円～3000円の服をたくさん持っていましたね。

でもそこから少しずつタンスの中の景色が変化していきました。”

たくさんの手仕事のなかで、Kさんが特に好きなのは「手刺繍」だ。

インドで暮らす女性たち。
彼女たちの生活のなかに長く、深く、根付いている手仕事は、
Kさんの心をとらえた。

“それを自分の仕事にできるって、本当にすごいし素敵やなぁって思います。

毎日すごくどきどきしながら、服を選んでいますね。

日常のなかで見過ごしていた、色々な手仕事のものに
目がとまるようになりました。”

彼女にとって、今まで未知の世界だったアジアの国々が
共に生きる身近な存在として見えてくるようになったのだ。

“どんな国なんやろうって調べてみたり。

あぁ、そこから着た服を今着てるんやなぁとか、
あ、今日全身ネパールの服やん！って。

そういった意識が変わってきましたね。”

そして彼女自身も、ハンドメイドを始めてみることにしたという。

“普通にミシンをカタカタするだけなんですけど。

巾着や、娘の給食ナフキン、バッグ、ヘアゴムとかを作ってみたり。
やっぱり手づくりのものを使うと、嬉しいんです。”

時間をかけて作ったものを、日常のあちこちにちりばめる喜び。

自ら手を動かし、モノを愛でることの大切さを深く知っていく日々だ。

今日も、タンスを開けると、世界が広がる。

“春夏秋冬、本当に楽しんでます。

日々の犬のお散歩や、お出かけにも。
気負いなく、ずっと着られますね。

犬に爪をたてられるので、どうしても痛んでしまうこともあるんですが、
修繕しづらい生地は、透明なマニキュアをぴぴっとつけてみたり。”

愛犬にボタンをかじられてしまった手編みのポンチョ。

ガラス屑で作ったボタンをつけて繕って、今でもお気に入りの一枚だそうだ。

服はやっぱり、楽しみ、「育てる」ことができるのだ。

“手づくりとか手織りとか、素材の良さは
肌にふれるだけでわかります。

試着だけでもいい。
まずは袖を通して、フェアトレードの服をぜひ身近に感じてほしいです。

自分が好きなものを好きな人が増えると、やっぱり嬉しいなと思います。”

Ｋさんにとっては、10年前のあの出会いがなければ、
今の景色を目にすることのなかったはずだ。

彼女や、あなたや、私の生きる姿が、
誰かの今日に、そして10年後に、届くのかもしれない。

そんな数えきれないほどのささやかな出会いが、
つながって、つながって、私たちの未来をかたどっていくのだと思う。

 

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