
インドの風吹く 春の食卓
お日様に照らされて、目の前の景色が色を放ってどんどん変化していく春。
植物と同じように、不思議とわたしたちの身体や気持ちも、芽吹き、開いていく。

「新生活」という言葉があちこちで飛び交うけれど、
特に新しい変化のない春を迎えようとしている人は、わたしを含めてたくさんいるはず。
こうしちゃいられない。
わたしにだって春は来ている。
この春は、「新しい」をたぐりよせる季節にしようと思う。

何をしよう。
そこでふと浮かんだのは、憧れのインドの食卓。
よし、作ったことのない料理に挑戦してみよう。
レシピに選んだのは、インドの炊き込みご飯「ビリヤニ」だ!!

遠くまで出かけなくたって、ドラマティックな変化が無くったって、
「生活」といういつもと同じ器のなかで、新しい春を作ることができる。
ワクワクする何かとの出会いは、自分の半径1m以内で無限に作りだすことができるはずだ。

一束のお花をテーブルのうえに招くだけで、多幸感は増し増しに。
「いただきます」の瞬間まで、気分をじっくりと上げていく。

出来上がったビリヤニは、たくさんのスパイスが混ざり合い、
春のエネルギーを香りから盛り立ててくれる。あぁ美味しそう!!
手を合わせてください。いただきまーす!!
neemの木のお皿に盛り付けて、お気に入りの布で飾り付けて、
インドの風を春の食卓に吹かせてみた。
お気に入りのハンカチは△折りにして、テーブルに散らばせて。
好きな模様と、好きな料理の足し算が、たまらなく楽しい。
インド料理=銀皿という印象だったけれど、木のお皿はお料理をまろやかに仕上げてくれる。
neem woodはインドで薬効性の高い木として昔から親しまれてきた存在。
やっぱり同じ土地のものだからだろうか。料理に優しく馴染んでいるなぁ。
お客さんが来るときは、いつもアクセサリーを入れているショーケースにスパイスを入れて。
こんな素敵な演出も、工夫次第でいくつも生み出せるはず。
午後はチャイタイム。
テーブルウェアもお色直し。
手ぬぐい一枚で、雰囲気はがらりと変えられる。
チャイを注ぐには、ネパールで作られた古代カップがいい。
ぽてんとした形が、手のなかで愛らしくおさまる。口にあたる感触もまろやかで、チャイの優しい甘さがより美味しく身体にはいってくる。
さっきのスパイスケースも、可愛いお手拭きケースへと早変わり。
食卓の上からはじめる、新しい春。
何気ない休日が、春の1ページを彩る特別な時間になるはずだ。

冬を越えた地続きの日常を、春の暖かさで柔らかくほぐして。
そこに自分の手で新しいベールをふわりとかぶせてあげる。
それだって、とっても素敵な「新生活」だと思う。
もうすぐ4月。
それぞれの新生活に良い光が差し込むことを願って。
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タニ
番外編 ビリヤニができるまで

ビリヤニ職人の朝は早い。
スタッフのムラカミは料理が大の得意。
「ビリヤニを作りたいのです」という私の一言から、ムラカミ全面協力のもと、今回の撮影がはじまった。
家の戸棚で持て余していたバスマティライスを持参して、
朝8時、いざビリヤニ作りのスタート。
わたしはただただ隣で「美味しそう」とつぶやくだけの係に徹する。

前日にムラカミが仕込んだタンドゥリーチキン風の鶏肉が、既に幸せの香りをキッチンに充満させてくれている。
数時間後の幸せが約束された香りだ。
■タンドゥーリチキン風(以下をまぜまぜしてマリネに)
・ヨーグルト
・ニンニク
・しょうが
・塩
・クミン
・コリアンダー
・パプリカ
・ターメリック


まずは「香りの女王」というヒンディー語に由来するというバスマティライスを、
ホールスパイスや塩を入れて半茹でに。
・カルダモン
・クローブ
・ローリエ、
・それにメースやカシアなど、初めて耳にするスパイスも使用

マリネした鶏肉を温めて、半茹でしたバスマティライスを合わせて
フレッシュなミント、パクチーと一緒に鍋に入れて炊き込む。
鍋の中で、混ぜ合わせず、層を作って炊き上げるのがポイントとのこと。
ここからは、出来上がりまで、鍋の蓋があけられない一発勝負。
きちんと火が通っているのか。べちゃっとしてないか。焦げ付いてないか。
パラっと仕上がり、適度なおこげができるのが理想だけれど、初めて作るビリヤニ。
加減が分からずドキドキ。

炊きあがったビリヤニは、これまたしっかりと混ぜ合わせずに、味のグラデーションを楽しむのが乙とのこと。
そんなインド美学も学びながらのビリヤニ作り。
結果は、大成功!!
ありがとうムラカミシェフ。
他のスタッフお手製のカレーやサラダも合わせて。

撮影後のお昼ごはん、スタッフみんなで美味しく美味しくいただいた。
奥深きビリヤニづくり、皆さまもぜひお試しあれ!!
参考文献:「南インド料理とミールス」ナイル 善己 著
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