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12人の生産者さんのお話 vol.3

12人の生産者さんのお話。

今回はvol.3、インド、インドネシア、フィリピンから、3人の生産者さんをご紹介します。

スプリヤさんのお話

Creative Handicrafts(インド・クリエイティブハンディクラフト)

インド・ムンバイの空港近くに広がる巨大スラム街で長年活動しています。
女性たちが社会的にも経済的にも力をつけていけるよう、つくった製品を国内外で販売しながら総合的な支援をしています。
スラムの中には11の作業所が点在し、女性たちは20人ずつの小グループに分かれて縫製作業を行っています。
sisamでおなじみのデニム生地やプリント生地の衣服、私たちの長年の夢だった”カディ”を縫製してくれているのも彼女たちです。

はたらく2児の母

縫製パートを担当している、スプリヤさん。
クリエイティブハンディクラフトで働き始めてまだ1年の、新人生産者さんです。

スプリヤさんはご主人と幼い娘さん2人の、4人暮らし。

ご主人は午前はスクールバスの、午後は会社の送迎車の運転手として働いています。
夫婦ともに働いて得たお金は、2人の娘さんたちの明るく輝かしい将来のために貯金をしているそうです。

縫製の仕事がお休みの日は家事をするほかに、公園に行ったり、娘さんとお絵描きをして遊んだり、時には娘さんのファッションショーごっこを楽しんだり。
どこの国でも、母と娘の遊びはほほえましいものですね。

あなたのそばにいる

これは、スプリヤさんが大切にしている言葉です。

「人はだれしもが日々暮らしている中で気持ちの浮き沈みがありますよね
そんな時、さり気ない言葉でも声を掛け合うと、皆が笑顔になれるんです」とスプリヤさん。

人は一人では生きていけない、とよく言います。
つらい時、悲しい時、周りの励ましやふとした言葉に支えられて私たちは今日も生きていける。
そんな当たり前のようで大切なことをスプリヤさんは教えてくれました。

家族を、そして周りの人を思いやる、やさしい心。
これまでの、そしてこれからの彼女のものづくりに、その想いが込められることでしょう。

ハニさんのお話

Mitra Bali(インドネシア・ミトラバリ)

インドネシア・バリ島で、手工芸品の生産者たちを悪質な中間業者から守るために、1993年に立ち上げられた団体です。
生産者たちが安心して生産できるように、マーケティング支援や商品開発、経営指導や健康管理の面からサポートしています。

バリ島東部に散在する生産者グループは、家族経営か数人の職人が集まる小さな工房で、工芸品を一つ一つ手作業で作っています。
手仕事のあたたかみを感じられるシルバーアクセサリーは、季節を問わずsisamのコーディネートにアクセントを加えてくれます。

少しのことが大きなインパクトに

ミトラバリの副代表、ハニさんは、ご主人のアグンさんとともに団体を設立しました。
生産者さんをまとめる役割、そして貿易のマネージャーとしても活躍しています。

「社会課題とビジネスを繋ぐことができるから、この仕事が好きなんです」と彼女は言います。

ハニさんの休日は、庭の手入れから始まります。
水やりにお掃除、大切な庭をきれいに保つため手入れに力を入れます。

ペットのLemoちゃんとの散歩のようす

午後は、バリ島のきれいな海辺を散歩するのが日課。
時には海辺に座って、家族や友達と近況の報告をしあいます。

波音を聞きながらゆっくり過ごすと、日々の疲れも波と一緒にさらわれていきそうです。

2022年のフェアトレードデーのようす

「私たちは地球上の人々が互いに助け合うために少しのことから始めるべきです。
フェアトレード品を選択することで生産者の支援になり、彼らの生活の質は向上します。
少しのことですが、生産者にとっては大きな影響をもたらしてくれるのです。」

ハニさんの想いは、同じ地球上に暮らす人たちと「よき隣人」としてつながって生きていきたいと考えるsisamのビジョンと、海を越えて通ずるものがあります。

「お買い物の力で思いやりに満ちた社会をつくる担い手となる」
少しの行動が、大きなインパクトを。

ナンシーさんのお話

CCAP/Community Crafts Association of the Philippines(フィリピン・コミュニティクラフト)

1973年にフィリピンの首都マニラで設立された団体です。
自然素材を使った手工芸品の生産を通して、貧困の改善を目指し、各地に散らばる26グループ、900名の支援をしています。

アバカ素材のランプや帽子、カラグモイのつづらなど、それぞれの地域の素材を活かした素晴らしい手工芸の技術は、今もなお私たちの暮らしに温かく根付いています。

フェアトレードのちから

2015年から the Barcelona Multi-Purpose Cooperative(通称BMPC)で働いている、ナンシーさん。
コンプライアンスを管理する責任者として、生産者団体で活躍しています。

ナンシーさんは、ご主人と、15歳と12歳になる2人のお子さんとの、4人暮らしです。

ご夫婦ともにそれほど裕福でない家庭に生まれたそうで、夫婦共働きで互いの家族を支えています。

働いて得た収入は、お子さんの大学進学や家族の日用品のために、コツコツと貯金を。
また、もしもナンシーさんのご両親にお金が必要になった際に、ご主人の稼ぎに頼らなくてもいいように備えているそうです。

女性のエンパワメントを目指すフェアトレードの仕組みのもとで、ご主人の稼ぎに頼らずとも暮らしていける力をつけているナンシーさん。
フェアトレードの影響力を改めて実感させてくれます。

すべての出来事には意味がある

「この仕事は私をとても助けてくれています」
新型コロナウイルスのパンデミックの際でも、団体から継続的に商品のオーダーがあったことで、途切れることなく仕事があり、とても助かったとナンシーさん。

彼女のご主人はパンデミックの影響でドライバーの職を失いました。
建設会社に再就職できたようですが、その影響は彼女の家族に多大な打撃を与えたのだそう。

ナンシーさんには、大事にしている考え方があります。
それは「すべての出来事には意味がある」です。

「私たちの身に起きる出来事のすべてが神様の意志によるものでなかったとしても、すべての出来事に意味はあって、最終的にすべての事が上手くいくと思っています。」

私たちが経験している良いこと、悪いこと。
その出来事だけを見れば、嬉しい、悲しいの感情で終わってしまいます。
でも、その先を見て、出来事から自分が何を学ぶのかを考える。
そうすると、その一つ一つをスッと飲み込める気がします。

彼女の言葉は、すべての事に意味があるのだと、そう思うことの強さと優しさを、私に教えてくれました。

12人の生産者さんのお話。

残すところあと3人。

vol.4に続きます。

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