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失われてはいけない”失われゆく手仕事” ~スワガタさんのお話 前編~

7月にインドの「SASHA(サシャ)」から来日した代表のルーパさんとシニア・デザイナーのスワガタさん。
今回はスワガタさんのお話をご紹介します。

初期の頃からサシャに在籍し、まさにサシャの生き字引であるスワガタさん。
これまでにテキスタイル・衣料品部長を経験し、現在はシニア・デザイナーの他にテキスタイル職人の能力開発などのマネージャーとして勤務するなど、常に職人さんとの密なコミュニケーションを積み重ねてきました。

お話してくれたのは、sisamで取り扱っているカディやストール、木工品についての歴史や文化について。

手仕事に歴史あり。
お話を聞けば聞くほど、1つのアイテムがどのような背景で生まれてきたのか、迫力のあるメッセージとして自分の心へ染み渡るように感じました。

今回は、カディのお話を、次回後編ではストールと木工品のお話を皆さんへご紹介させていただこうと思います。

カディ ~失われてはいけない”失われゆく手仕事”~

昨年からsisamのコレクションに加わった念願のカディの服。

生地作りをSASHAが行い、服へ仕立てていくのはCreative Handicraftsが行うという、二つのフェアトレード団体が一丸となって叶ったコレクションです。

「Khadi(カディ)はただの布ではない。思想である。」

という言葉をインド独立運動の父マハトマ・ガンディーが残したように、カディはインドの歴史を体現する特別な生地です。

カディの歴史は古く、インドが持つコットンの歴史とほぼ同じ長さの歴史を持ちます。
手紡ぎされた糸を、丁寧に手織りして生地にしていく。

繊細で途方に暮れるような行程を経た生地のみがカディと呼ばれます。

使われる道具は非常にシンプル。
糸車などを使って太めの糸から500番手以上の極細糸までを作りだすことができます。

500番手以上というのがどれくらい細いかというと、sisamのカディに使われる糸は200番手。
普段身に着けている服からは想像できないような細い糸もこの道具で作り出すことができるのです。

マハトマ・ガンディーたちが闘ったイギリスによる植民地支配の時代、この美しい手仕事は危機に直面します。

イギリスが、自国で作った安価な機械織りの布をインドに押し付けたのです。
それまでに使われていた布は安価な機械織りの布に取って変わられ、職人たちは仕事を失い、手仕事の文化が危機に陥りました。

その支配に対して、ガンディーたちは独立運動を起こします。その時に使われた抗議の道具が手紡ぎの布カディでした。
ガンディーは紡績を生活の手段として取り上げ、糸車を象徴として独立闘争を進めました。

インド独立によって守られたかに見えたカディでしたが、次にインドには大量生産・大量消費という近代化の波が押し寄せます。
より安価なものをという近代化の波には抗えず、カディはその重要性を失っていきます。

再び危機を迎えたカディ。
しかし、近年サステイナブルな価値観への関心が高まってきたことにより、カディの重要性が再評価されることになりました。

手紡ぎ・手織りで作られるカディは、燃料を必要とせず、とても環境に良い行程で作られる生地なのです。

それならば、生地はどんどんカディにしていった方がいいのでは、と思われるかもしれません。

しかし、繊細な技術が必要とされるカディは、生地の幅によりますが、一日にどれだけ頑張っても4m織ることが限界だそうです。
機械織りに比べると、織れる生地の量ははるかに少ないのです。

効率的に織ることができる機械織りの方が収入にもつながるため、若い世代の職人たちは機械織りへと流れていってしまい、後継者不足の問題が起こっているそうです。

サシャが協力しているBurdwanという村の職人グループでも状況は変わらず、高齢化による跡継ぎ問題に直面しています。

そこをさらにコロナ禍が襲いました。
コロナ禍によって注文が減少したことにより、サシャは、織物職人の家族10世帯にしか仕事を提供できなくなりました。

たったの10家族。
このままでは、この美しい手仕事は失われてしまうかもしれません。

カディが在り続けるために、私たちには何ができるでしょうか。
それは、私たちがカディを知り、まとうこと。そこにかかっているのです。

サシャでは、より多くの方にカディを知ってもらおうと、新たなアイテムを提案するなど、努力を続けています。

インドの歴史と文化が詰め込まれている生地、カディ。
カディの未来は今を生きる私たちの手にかかっています。

その美しい手仕事に、ぜひ一度触れてみていただければと思います。

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FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
フルカワ

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スワガタさんのお話、次回はストールと木工品についてのお話をご紹介します。

どちらもカディと同様、歴史に翻弄されながらも受け継がれてきた手仕事。

2つの手仕事がどのような歴史をたどってきたのか、引き続きお付き合いください。

後編はこちらから

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ルーパさん、スワガタさん来日記念のリモートお話会、アーカイブが公開されました!

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