一角を愛す 2

部屋の一角。
直径1ｍもないわずかな空間に、自分の愛すべきものを詰めこんで。

とてもささやかだけれど、毎日、毎日、小さな幸福を生んでくれる。
そんな特別なスペースを持つことは、私たちの生活の水源になるように思います。

前回に引き続き、シサムのスタッフたちの、一角の風景を集めてみました。

タイムスリップ

子ども4人の子育てに奮闘中のナベワリ一家は、毎日がどんちゃんお祭り騒ぎ。

小学3年生の長女の夢は、パティシエになってカフェを経営すること。

「ケイエイ」なんて大人びた言葉も、
彼女の大作、「未来のわたし人形」の前では、なんだか微笑ましく聞こえてきます。

紙粘土で作り上げた彼女の未来の姿は、
力強いまなざしとニカっと開いた大きな口で、堂々と鎮座しています。

その隣の瓶には、飴ちゃんがたくさん入っているのかと思いきや、
折り紙で作った多面体や粘土の小さな作品入れに。

その奥には、子どもたちの乳歯入れをこっそり置いています。

最近、子どもたちが一人で寝るようになり、
成長を喜びつつも、なんだか寂しさを感じているナベワリ。

このまますくすくと育ってほしい想いと、もう少し今のままでいてほしい想いと。

母の愛ゆえの矛盾があるようです。

そんな時、このスペースだけは、「タイムスリップ」できる場所として。

決して止まることなく刻々と進んでいく
子どもたちの時間、家族の時間。

かけがえのない成長の瞬間を、あえて「時計」の下に
大切に集めました。

 

チョコレート博覧会

チョコレートを愛してやまない、スタッフのウシジマ。

部屋に過ごす時間が長くなると
常に視界にはいってくるのは、目の前に立ちはだかる古い壁。

もともと学生の下宿場だったシェアハウスに暮らしているので、
壁にもテープ跡が残っていたりと、その汚れが気になっていたそう。

自分らしく楽しく壁をアレンジできないか…。
そこから、直径1mのチョコレートの博覧会が始まりました。

今年食べたチョコレートのパッケージが、ずらりと並ぶ光景は圧巻ですが
実はまだこの4倍もの包み紙が待機しているというから驚きです。

“チョコレートを食べた後の包み紙は、必ず収集しています。

紙の質感、箔押しされた文字や絵、個性をもつデザイン。
その一つ一つから、チョコレートが丁寧にしつらえられていることが、
しっかり伝わってくるんです。”

引っ越してすぐに、新しい町でドキドキしながら購入したもの。
大切な友人からもらったもの。
地元でお世話になっている人から教えてもらったもの。

包み紙のバリエーションの数だけ、彼女の過ごしてきた日々の豊かさを伺うことができます。

口に含んだときの味わいと目の前の景色。 その時考えていたこと。 隣に居た人たちとの思い出。

ウシジマにとっては、古いアルバム以上に、
様々な情景をよみがえらせてくれるものなのかもしれません。

入場料を片手に、ウシジマの部屋へ遊びに行く日を楽しみに。

我が家でも、自分だけの博覧会を考えてみようと思います。

 

母のアトリエ

スタッフのカタオカは、最近我が家にとっておきのスペースができたようです。

いままで家族のパソコンを置いていたコーナー。

最近パソコンが壊れてしまったことで、おもわぬチャンスが舞い降りました。

さぁこれからここに何を置こうか…。

思い切って、しまい込んでいたミシンや小引き出しをひっぱり出して、
表情のちがう古家具たちがにこにこと並んだ可愛いスペースに。

息子2人と過ごす毎日のなかで、家の中がすぐに散らかるけれど、
ここだけは私の好きなものしか置かないでおこう。

子育てにめまぐるしい日々のなかで、自分だけのささやかな「聖域」を。

大切な人たちから引き継いだ古い家具には、押し入れに眠っていたボタンや手芸パーツを整理。
すぐに手に取れるようになったことで、創作意欲も自然と高まります。

たくさんの暮らしの宝物を、一段一段にしまい込んで。

我が家に、母の小さなアトリエができました。

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ナベワリ、ウシジマ、カタオカ、タニ