プラディプタさんの鼻歌
~作り手とつながる8つのお話 第1話~
作り手と私たちをつなぐ、フェアトレードNGOの人々。
プラディプタさん(46)は、インド・SASHAのスタッフとして20年間尽力している。
彼の魅力は、いつも人を和ませてくれる優しい茶目っ気。
シサムのデザイナーが、手織りショールの作り手が暮らす村を訪れたときも、つねに歌をうたっていた。
車中で流れてくるラジオといきなり合唱を始めたり、
果たして、鼻歌なのか、歌詞を歌っているのか分からないほどの絶妙なメロディが聴こえてくることも。
気づけばフラフラ~っとどこかへ散歩に行ってしまっている。
彼と過ごしていると、昔、学校のクラスにだいだい一人はいた、いたずらっ子を思い出す。
そんな愉快な人柄の芯の部分には、フェアトレードの仕事に対する強い想いがある。
社会で取り残された多くの職人たち、そして立場の弱い女性たちが誇りをもって働ける場であること。
この仕事に深く共感し、SASHAの一本の大きな柱として、多くの作り手とともに20年間歩んできた。
もともと絵の先生をしていたプラディプタさんは、
今でも30人ほどの子どもたちを対象に、日曜日に絵の教室も開いているそう。
この数か月は、インドの深刻なコロナ禍から、住んでいる地域をなんとか守ろうと
食べ物の供給や町の消毒など、地域のリーダーとしても日々尽力している。
フェアトレードを語るとき、私たちと作り手の架け橋になってくれている、
彼のような存在も決して忘れてはいけないなと思う。
ひんやりとした秋風が吹く今日、手織りのショールをぐるりと巻く。
目をつぶってインドの地をイメージしてみる。
村に響き渡る、パタン、パタンという織機の音。
作り手の女性たちやその家族の笑い声。
そしてその向こうに、プラディプタさんの優しい鼻歌が聴こえてきそうだ。
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タニ
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