2つの喜びがつながるとき
~作り手とつながる8つのお話 第4話~
「デレーラムロー(このデザインとっても素敵ね)。」
数年前、シサムのスタッフがネパール出張で
ウルミラさん(53歳)に会ったときのこと。
仕上がったアームウォーマーを眺めながら
彼女がとびきりの笑顔で、そうつぶやいた。
ウルミラさんが、フェアトレードNGO・サナハスタカラと
仕事をはじめて、もう9年になる。
グループリーダーとして、20歳から58歳までのニッター(編み手)を
とりまとめている彼女は、その陽気でチャーミングな人柄で、
たくさんのものづくりと、それに携わる人々を支えてきた。
一つの手編みアイテムを完成させるには、
作り手とシサムのスタッフが、毎年、長い月日をかけて
何度もサンプルを作り直しながら、より良いものを目指していく。
私たちをほっこりと心から温めてくれる編み物の世界。
しかしその現場は、根気と体力をかなり必要とする仕事の積み重ねだ。
「仕事をしていて楽しい時っていつ?」
「とにかく作ることが楽しい。
中でも、一番はじめのサンプルを作るときが好き。
毎年どんなデザインが届くか、ワクワク楽しみにしているの。」
その答えから、彼女たちにとって”編むこと”が、
単なる仕事ではないことがわかる。
決して楽ではない、ものづくり。
それでも、ものを生みだす喜びや楽しさが
彼女たちの仕事であり、生きることを表現していくことなのかもしれない。
毎年、季節の巡りにあわせて、ネパールから届く段ボール。
箱を開いた瞬間、彼女たちの渾身の作品ともいえるニット製品たちが目に飛び込んでくる。
編み模様の美しさや、楽しさに心がおどる。
彼女たちが編み込んだ「作る」ことへの喜びは、
いつのまにか、多くの人の「使う」喜びへと、つながっているのだと思う。
2つの喜びがつながるとき、無意識のうちに私たちは感じることができる。
あぁこれが、フェアトレードのものづくりなんだと。
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タニ
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