sisamを贈る3
~ sisamを贈る 第3話 ~
sisamの事務所にも、贈り物の季節がやってきました。
スタッフたちはソワソワ。
今年は誰に、どんな想いを贈ろうか。
これは、”sisamを贈る”6名のスタッフのお話。
今回は、その最終話です。
兄と妹
冬になると、家族に何かを贈りたくなる。
シンシンとした冬の空気が街を包むようになる頃、
自分の寒さはさておいて、大切な家族を思い浮かべる人は、たくさんいるはずだ。
エンドウの心に、ふとよぎったのは兄の存在だった。
2つ上の兄とは、お互い家庭を持つようになって、
少しずつ疎遠になってしまった。
学生時代は、とても仲が良かった兄妹。
小学校の修学旅行で、自分のために驚くほどたくさんのおみやげを
買ってきてくれた兄のことを、たまに思い出す。
幼いながらに、兄が自分に向けてくれている愛情を
感じることができた大切な思い出だ。
なかなか会うことがなくなった今も、
目にはみえない兄とのつながりを、不思議と感じとることができるのは
そんな時間のカケラの積み重ねがあるからかもしれない。
山仕事をしている兄に、今年も厳しい冬の自然が待ち受けている。
自然と毎日向き合って生きている兄の背中を、
大人になった今でも、誇らしく見上げることができる。
もちろん照れくさいので、そんなことは決して口にはしないけれど。
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少しでも、気持ちよく温かく過ごしてほしいという想いから、
兄に、オーガニックコットンの長袖を贈り物として届けた。
仕事着のインナーとして、愛用してくれるに違いない。
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義理のお姉さんや、中学生の甥っ子にも、
冬を温かく過ごしてもらえるよう、それぞれ手編みの品々を。
先日兄から届いた写真には、それぞれの贈り物を身に着けて、
恥ずかしそうにカメラに目線を向ける、親子の姿があった。
学生時代まで、ともに暮らした岡山の地。
自然のなかを仲良く走りまわっていた兄と妹は、
今ではそれぞれの場所で、父となり、母となっている。
それでも、照れくさそうに兄を語るエンドウからは、
幼い頃の妹の表情が、垣間見えたような気がした。
糸をたぐりよせ
2か月前、事務所の梱包チームに、新しいスタッフ・カメダがやってきた。
飄々としたユニークな彼の人柄に、私たちスタッフも興味津々の日々だ。
今年は多くの人がそうであるように、
カメダも、予想だにしていなかった世の中の変化を受け
新しい仕事探しをする一年になった。
そんな大きな変化のなか、人とのつながりがきっかけで、
私たちの事務所に新たな仲間としてやってきてくれたのだ。
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カメダは、この激動の一年の締めくくりに、
コーヒーとマグカップの贈り物を持って、親しい人たちに会いに行きたいと話す。
旅館で働いていた時にお世話になった人たちへ、感謝の気持ちを込めて。
最近新しくお店を始めた友人には、お祝いと激励を伝えに。
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”フェアトレードの仕事を始めたことを、美味しいコーヒーとともに報告しながら、
この一年のことをしみじみ振りかえる大切な時間を過ごしに行きたい。
ここに来ることができたのも、たくさんの人とのつながりがあった結果なんです。
なかなか時間がとれないけれど、なんとか会いに行きたいな。”
カメダはコーヒーを選びながら、そう笑顔で話してくれた。
贈り物は、必ずしも「贈る」ことが目的ではないのかもしれない。
私たちの毎日には、目にはみえないたくさんの糸が引かれている。
それは、自分と誰かとの”縁”のようなものだと、私は思う。
ともすれば、どんどん流れていってしまう”縁”を、
大切に手にとり、たぐりよせることのできる人になりたい。
カメダの話を聞いていて、ふとそんなことを思った。
贈り物があちこちで行き交う季節。
sisamの贈り物も、たくさんの人の”縁”に彩りを添えるものになることを願って。
今日も、誰かのストーリーを想像しながら、いま手のなかにある品を
大切に、大切に、包もうと思う。
FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
タニ
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