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ワンプ袋プロジェクト
2021年2月15日から、sisamの”包む・届ける”が変わる。
オンラインストアの「配送袋」にも
私たちの想いを込めることはできないだろうか。
包み、届けるという日々の行動のなかでも、
何か伝えられることはないだろうか。
今から1年前、そんな私たちの声を拾い、
一緒に形にしようと、手を挙げてくれた人たちがいた。
“要らない”を変える力
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京都ならではの町家がつづく二条城近くの街並み。
昔ながらの家々の表情を楽しみながら歩いていると、
そんな景観にユニークに溶け込んだ、素敵な建物が突如現れた。
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気さくな笑顔で迎えてくれたのは
修美社の社長である、ヤマシタさんだ。
まだシサム工房が生まれる前、代表の水野がヤマシタさんとともに働いていたのが縁で
カタログづくりなど、シサム工房の”印刷”を長年お願いしている。
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まさに「おもしろい印刷会社」だということが、すぐにわかるほど
会社のあちこちにワクワクが散りばめられていた。
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「紙出(しで)」を使ったプロジェクトを見ても、それが十分に伝わってくる。
製品を仕上げるために出た余り紙や切れ端を、印刷業界では「紙出」と呼ぶそう。
「普通だと捨てられてしまうものを、せっかくならおもしろく使おう」
そんな想いから、紙出を使ったユニークなノートの作成やワークショップの活動が
2016年から続いているそうだ。
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一方で私たちも、長い間考えていたことがある。
それが、オンラインストアで品物を包み、お届けする配送袋にも
シサム工房のメッセージを込めることはできないかということだ。
そんな想いをヤマシタさんに相談することからはじまったのが
今回のプロジェクト。
ヤマシタさんの「ワンプというのがあるんですよ!」という一声から
ぐんと現実的なものになってきた。
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製紙会社から問屋さんへ大きな紙を届けるときに包むクラフトペーパーを
印刷業界では、「ワンプ」と呼んでいる。
今までは、紙を取り出したあとの大量のワンプは、廃棄という選択を取らざるを得なかった。
そのワンプに、オンラインストアの配送袋として、新たな命を吹きこむのだ。
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まずは、紙の問屋さんから不要になったワンプを
ピックアップしてくるところから。
ワンプ袋づくりの最初の一歩が、ここで踏み出される。
テープがついていたり、破れていたりと、状態はさまざま。
これを袋づくりができる状態に整えていくのだ。
大変な作業だということが伝わってくる。
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大きなワンプを一枚一枚、広げて、折っていく。
それを何枚にも重ねて、形を作る工程へ。
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裁断機で、角を合わせながら、4~5回ざっくりと端を切り落としていく。
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紙を長年扱ってきた職人技が光る。
ばらばらな状態だった一枚一枚のワンプが、きれいな紙としてよみがえる瞬間だ。
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ヤマシタさんにワンプ袋について尋ねてみた。
“ワンプを取り扱うこと自体がまずは大変ですね。
きれいな紙とちがい、ガタガタだったり破れてしまっているものもある。
でも使えなくなったものを使って、配送袋を作りたいという発想に、強く共感したんです。
印刷業界、紙業界のこと、そしてそこに携わっている人たちのことを
少しでも知ってもらえるきっかけになったら嬉しいですね。”
ヤマシタさんは、紙出を使ったプロジェクトでも、
この4年間で、なんども壁にぶつかってきたという。
それでも、このプロジェクトをおもしろがる人たちが少しずつ集まり、
活動の輪が徐々に広がってきた。
このワンプ袋プロジェクトも、そんな波の一つを生み出すことができるかもしれない。
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修美社の作りだす印刷物をみていると
不思議と”そこに人がいる”ということが伝わってくる。
かつてヤマシタさんが印刷の世界に入った頃は、
大量に刷って、大量に納品するのが印刷の仕事だと考えていた。
それがお客さんと直接関わるようになってからは、
意識が徐々に変わってきたという。
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一つの印刷物には実は多くの人が関わっているということ。
そしてそこには、必ず誰かの想いが存在するということ。
だからこそ、印刷は人の気持ちを動かすことができる。
気付けば、この仕事のことを心から好きになっていた。
優しい笑顔を浮かべながら話すヤマシタさんの表情から、
今を、そして少し先の未来を照らすことのできる、たのもしい力が感じとれた。
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そんな”ものづくり”を愛する修美社の人々から、最初のバトンを託された。
次は、いよいよワンプが”袋”になっていく工程だ。
その後ろにあるたくさんの音
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京都五条にある昔ながらの木造のお家に
「かしの木学園」という手づくりの表札がかかっている。
ガラガラガラ…。
町家の扉をあけると、なんだかおばあちゃんの家に来たような
アットホームな場所が広がっていた。
「おはようございます!」と明るい声で迎えてくれたのは、
ここを長年支えてきたヤマモトさんやスタッフさん、そして利用者さんたちだ。
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かしの木学園では、障がいを持つ人たちが
陶芸、縫製、パンづくりなどの”ものづくり”を通じて
色々な仕事に携わっている。
この学園で就労の機会を得る人、
就職を目指して、2~3年の経験をここで積む人、
利用者によって、その目的は様々だ。
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シサム工房との出会いは、7年前。
ヘアゴムやブローチなど、モチーフを備品に縫い付ける仕事を
お願いしたことが始まりだ。
ヤマモトさんのはつらつとした、そして朗らかな人柄に惹かれた私たちは、
フェアトレードのものづくりの一端を、長い間彼らに支えてきてもらった。
今回のワンププロジェクトも、「やってみましょう!」というヤマモトさんの一声と
多くの利用者さんのものづくりの力が、心強いエンジンになっている。
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今では「紙袋」と聞くと
機械によって、数秒単位で大量に生み出される光景を
浮かべる人が多いだろう。
でも、私たちが訪れた場所には、
そんなイメージとはかけ離れた、”人の手の力”で丁寧に形にしていく
まさにものづくりの現場があった。
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まずは手づくりのガイドをワンプのうえに重ね、
各ポイントの印をつけていくことから始まる。
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そのポイントをもとに、定規で一本一本線を引いていくのだ。
サーッサーッと、鉛筆で丁寧に線を足していく。
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ここから”折る”という作業が一番難しいという。
少しの誤差で、仕上がりが変わってきてしまう。
まさに難易度の高い、折り紙だ。
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そして最後の仕上げは、糊付け。
はじめのうちは、ボンドの濃度や塗り方なども試行錯誤を繰り返し、
徐々に自分たちのリズムや、まんべんなく糊がいきわたる方法を掴んでいったという。
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そんな工程を繰り返し、一日で作れる量は、15~20枚ほど。
その一つ一つの動作が、とても丁寧で、
それぞれの工程を、大切にしていることが伝わってくる。
シュッシュッと線を引く音。
人の手が、紙に触れる音。
そこには、優しい音が淡々と流れていた。
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私たちは、ワンプ袋製作をしてくださっている、もう一か所の作業所に移動をした。
ちょうど一日の仕事がはじまる時間帯。
朝のラジオ体操を終えた利用者やスタッフの活気にあふれていた。
ある女性が、「見て見て!」と私たちの手をひいて
彼女の仕事である、”お土産のお菓子箱づくり”を披露してくれた。
慣れた手つきで、一つ一つ立体にしていく。
おぉ~、こうやって形にしていくのか!とおもわず感嘆の声。
今までなにげなく買っていたお土産も、今度からは、彼女の嬉しそうな顔を
私は何度でも思い出すことができるだろう。
”もの”の後ろには、必ず誰かが存在しているのだということを、
改めて教えてもらえた気がする。
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ここでもまた、利用者さんの個性にあわせて
ワンプ袋の独自の製作方法が、編みだされているそう。
スタッフのフォローのもと、彼女たちのペースで、少しずつワンプ袋を形にしてくれていた。
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まるで数珠繋ぎのように、たくさんの人の知恵や工夫、想いが足されて、足されて。
待望のワンプ袋が、私たちのもとに届いた。
次は私たちの想いを込める番だ。
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アジア各国の生産者が作った衣服や雑貨を、
この袋に包み、皆さんのもとへお届けできることが、本当に嬉しい。
できることを、少しずつ、少しずつ。
「包む」「届ける」にも、私たちの想いを込めて。
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タニ