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てとて

ミシンをカタカタと動かす手。

模様のもととなるスタンプを木とノミで彫っていく手。

その模様にそって、一針、一針、刺繍をほどこす手。

ギラギラ太陽のもと、力強く洗濯をする手。

たくさんの手から手へ、長い旅をした
インド・カラティマクの衣服たち。

昨年の春、私たちのもとにやってきてくれた。

しかしこの一年、世界を包んだ大きな霧のなか、誰にも袖を通されることなく
倉庫でたくさんのストックとして眠ることに。

何か良い方法はないだろうか…。

デザイナーや販売スタッフは、現状に心を痛めながらも、
今だからこそできる「何か」を探る日々をおくった。

そしてあるスタッフの頭に浮かんだのは、
彼女が長年心の中に置いていた「染め直し」の企画だ。

「色」という手しごとを重ねることで、
新しい衣服として生まれ変わらせるのはどうだろうか。

古くから付き合いのある手染め職人さんの力を借りて
シサム工房らしい新たなものづくりができないだろうか。

そんな想いが、この春ようやく形になる。

こんな時代だからこそ、私たちは「手と手」が生み出す力を信じたい。
てとてプロジェクトのはじまりだ。

対象アイテムは >こちら<

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その色世界の向こうに

京都市中京区、麩屋町通りをすすむと、
tezomeyaさんの工房が見えてくる。

階段をあがり工房に入ると、
たくさんの優しい色が目にとびこんできた。

その中から、ほっとする笑顔で迎えてくれた青木さん。
いつもついつい長居してしまう安心感が、この場所にはある。

tezomeyaさんとシサム工房は、もう長い付き合いだ。

草木染の衣服を、シサム工房のお店で初めて取り扱わせてもらったのが10年ほど前。
同じ京都の地で、それぞれのものづくりを続けてきた。

青木さんは、私たちや作り手の想いを汲み取り
今回のプロジェクトを快く引き受けてくれた。

しかし、昨年の秋からはじまったこのプロジェクトは、
簡単な道のりではなかったという。

染め直しをすることで、シミが浮き出てしまうことが何度もあったのだ。

インドでは、各家庭で刺繍をしている作り手が多いため、その時についたものなど
彼女たちの生活の気配が、どうしてもシミとして残ることがある。

青木さんは、私たちとのやりとりを何回も繰り返しながらも、
丁寧に、丁寧に、色を重ねてくれた。

「この植物から、何でこんな色が…!」

そんな草木染ならではの不思議を、
今までの私は、「自然のロマンや!」と叫んで満足してしまっていた。
お恥ずかしい限り…。

しかし取材当日、青木さんの口からは、「還元」「酸化」など、
まるで理科の授業のようなワードがつぎつぎと出てくる。

“実は草木染って化学と深い関連があるんです。

見えない世界でこんなことが起こっているのかと。
仕組みがわかってくると、すごく楽しくなってきますよ。”

私たちが決してコントロールすることのできない
自然が内包する色世界。

それを追及していく底知れぬ楽しさのなかに
青木さんは長年身を置いてきたのだ。

今日は、藍染の工程を見せてもらえるという。
tezomeyaさんの藍染は、インド藍を使用した化学建てという方法だ。

ぽこぽこと発酵したような表面を「藍の華」と呼んでいる。

昔の人はなんて粋な名前をつけるんだろうと惚れ惚れ。

藍の華が咲くのは、藍が元気な証拠だ。

さぁここからがショータイム。

特大バケツから上げた衣服を見ると、なんと明るい緑色に。

空気に触れてみるみるうちに藍色に変化していく。
まさに時間との勝負。

手早くシワを伸ばし、均一に酸化をさせなくてはいけない。
これを何度も繰り返し、色をしっかりと付けていく。

予想以上に、パワーの要る作業だ。

数時間後、部屋全体が深い藍の色に包まれた。

一日の工程で仕上げられるのは、数えるほどの枚数だけ。

海を越えて旅をつづける衣服たちに、また新しい時間が美しく染みこんでいく。

藍の色は、一色ではない。

「甕のぞき」「紺」など、染め重ねることによって、多彩な色相が生まれていく。

てとてプロジェクトの衣服は「はなだ色」に近い色味に仕上がった。
つゆ草の花の色という意味らしい。 これもまた粋。

“この仕事で、大切にされていることは何ですか。”

青木さんに尋ねると、少し間を置いてから
「なるべく正確に伝えることですね」という答えが返ってきた。

“草木染だから身体に良い、地球に優しい。
そういうことは、こちらからは伝えないようにしています。

草木染だといっても薬品は使っているし、
「合成染料は悪で、天然染料は善」とは必ずしも言えないと思います。

例えば、合成染料を使っている大きな工場も、
しっかりと環境基準を守って、負荷を軽減するシステムが整っていることが多いです。

正しく伝えるということを、日々大切にしていますね。”

「草木染」というものづくりに真摯に向き合ってきた青木さんだからこそ
口にすることのできる答えに、私自身がハッとさせられた。

「草木染」「天然染」という、その優しい響きだけに
満足してしまっていなかっただろうか。

青木さんは、その言葉のイメージにもたれかかることなく
日々ものを作り、誰かの日常に届けるという仕事と誠実に向き合っている。

私も青木さんのように、フェアトレードのものづくりと関わることができているだろうか。

背筋が伸びる思いとともに、青木さんと一緒に新しいチャレンジができることを
改めて嬉しく感じた瞬間だった。

「それでも…」と青木さんは続ける。

“それでも、草木染の服が好きな方、天然染だから着られるという方も中にはいらっしゃいます。
そうやって必要としてくれている人に、これからもいいものを届けていきたいです。

シサム工房のお客様って、私たちのお客様と通じる部分が多いと思うんです。
「ものに対する興味」というんでしょうか。
その服がどうやって作られたのか、モノの向こう側を感じようとしてくれる方々です。

穴が開いても、修繕や染め重ねをしながら、大事に着てくださる方もいます。

同じように、このプロジェクトも、長く長く、大切に続けていきたいですね。”

そんな想いから、今回のプロジェクトの衣服は「染めのおかわり」をいつでもしていただけるよう
染め重ねの無料サービスを何度でもおこなってくれると言う。

“一つの服が辿る旅のストーリーに加えていただけるのは大変光栄です。”

青木さんの言葉が、鮮やかな藍色のなかから聴こえてくる。

5年先、10年先も見据えた、服との付き合い方。
その愛しさを、たくさんの人に知ってほしい。

いま光を浴びながら、次なるストーリーを待っている衣服たち。

それはそれは美しい一枚に、あなたの明日を重ねてほしい。

 

FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
タニ

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対象アイテムは>こちら<

▼染め重ね無料サービスについて▼

・基本的に何度でも染め重ねは可能です。
・染め重ねの申込は、直接「tezomeya」までお問い合わせください。
・染め代は無料。送料は往復お客様ご負担です。
・染め重ねの色は、ご希望のお色に染められない場合がございます。
・本プロジェクト以外の商品の重ね染めは対象外です。

天然色工房tezomeya
〒604-0983 京都市中京区麩屋町通夷川上る笹屋町456-2F
TEL:075-211-1498

 

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