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旅するコラム「時間を愛おしむ街」
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美しい格子模様を背景に、マヤおばあちゃんが優しく微笑みを蓄える。
彼女はいま何を考えているんだろう。
静かで美しい小さな世界のなかで、しばらく時の流れを忘れてしまっていた。
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ここはネパールの街。
フェアトレードNGO・マハグチ代表のスニルさんに、ホームステイ先として紹介してもらった家族のお家だ。
この日の朝は、スタッフのミズカミの訪問に
プーリーというチャパティを揚げた料理でもてなしてくれた。
わざわざ生地をこねるところから作られたプーリーは
その手間と想いがとても嬉しくて、口の中に美味しさがじわりと広がった。
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部屋の片隅では、マヤおばあちゃんが朝日を浴びながら静かにチャイを飲んでいる。
はっとするような美しい光景だ。
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マヤおばあちゃんは、とってもおしゃれ。
色を自在にまとわせて、彼女の日常を静かに飾り立てる。
「ショバンディチョロ」と呼ばれる素敵な衣装に身を包む。
日本でいう浴衣のようなものだろうか。
ネパールの人々にとって、昔から身近にあるファッションだ。
ちなみに、sisamの「カシュクールワンピース」はここからヒントを得て作られているのだ。
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扉を開けて、いざ外の世界へ。
レンガ作りのお家が並ぶ旧市街。
なんとも素敵な帽子をかぶっているおじさんたちに、目が釘付けになる。
タカ織で作られた「トピ」という帽子だそうだ。
楽しそうにのんびりと世間話している。
「今朝、うちの母ちゃんがな、…」なんて声が聴こえてきそうだ。
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そして悠々と歩く牛の存在感。
当たり前のように街の風景に溶け込んでいる。
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家の前には、マリーゴールドの花々が浮かべてある。どこに飾るものだろう。
ネパールやインドの「花」と聞けば、私たちが真っ先に思い浮かべる可愛い小さな太陽だ。
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朝早くから、おばあさんたちが大きいカゴを背負いながら、やってくる。
ネパールでは青空市が日常風景の一つなのだ。
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朝から夜まで、街のあちこちで市が開かれているので、
地元の人たちは「スーパーマーケットなんて行かないわ」と話す。
カリフラワーやほうれん草が人気の野菜。
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ほうれん草は乾燥させて、炒めて食べるのが定番だそうだ。
大きなシートの上で、豪快に乾燥ほうれん草を広げている。
料理してもらったものを食べてみると、
なんだか不思議な味がした。
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ネパールの街や家庭を訪れると、私たちが時代のスピードとともに追い抜かしてしまった、
大切なことを振り返ることができる。
家のなかでは、古い道具を大切に使いながら、たくさん手を動かして
一つ一つ立ち止まるように生活を進めている。
街では、「なんでもない」時間が、軸のようなところで流れているような気がする。
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1分、1秒を効率よく使うこと、節約することに慣れてしまった私たち。
それなのに、彼女たちのほうが比べものにならないほど
一日を大切にしているような気がするのはどうしてだろう。
時間そのものを愛おしんで使っているような気がするのだ。
「日本の野菜って、既に洗われて袋にはいったものを買うんでしょ?」
不思議そうに問いかける彼女たちの顔を、今もときどき思い出す。
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タニ・ミズカミ