
手しごとから生まれた 一生モノの輝き


私は今までバリ島と聞くと、”おしゃれな観光地”というイメージしか持っていませんでしたが、
フェアトレードNGO「ミトラ・バリ」の人々と関わるなかで、その背景を少しずつ知り始めています。

インドネシアでは、国の富の半分が、人口の1%に集中しているといわれています。
バリ島では、物価の高騰や法整備の遅れにより、悪質な中間業者から賃金や労働条件を巡ってトラブルが多発しています。
下請け業者として働く人々は、生活をしていくために、遠くまで出稼ぎに出ないといけなかったり、
住居環境が整わないまま暮らしていたりと、彼らが置かれる環境は年々悪化していきました。

そこで立ち上がったのが、フェアトレードNGO「ミトラ・バリ」。
手工芸品を作る生産者たちを悪質な中間業者から守り、安心して生産に取り組める環境をつくっています。

ミトラ・バリ代表のアグンさん。
もともと弁護士をしていたのですが、弱い立場に置かれた人たちを助けたいという気持ちで日々働かれていました。
そんななか、フェアトレードと出会い、NGOで一から勉強をしたのち、このミトラバリを立ち上げたのです。
sisamのスタッフが訪れた時には、ギターを弾いて自作のフェアトレードソングや、
ビートルズなどを歌ってくれた、なんとも素敵な方です。

ワヤン スギアニ一家は5人家族。
ミトラバリで仕事をするようになって、子どもを学校に行かせることができるようになったそう。
一番上のお姉さんは、いま調理師を目指して料理の学校に通っています。
両親の仕事も手伝ってくれる頼もしい存在。
まだまだ小さな手作りの家に住んでいましたが、この仕事のおかげでトイレも設置してもらったと話されていました。

シルバー職人のご夫婦。
ベッドも置かれている狭い作業場で、製作をおこなっています。
肉食用のチキンも飼って生活をしているそう。

シルバーの製作をするうえで、かたちを切り抜くところが難しいと話されていました。
確かに、どうやって作っているかわからないほど細かい…! すごいです…。

ほがらかな笑顔がとってもチャーミングなマデさん。
ミトラバリで働くようになって、住居環境をきれいに整えることができました。
スタッフが訪問した際も、すぐにサンプルを作ってくれたりと、誠実に対応をしてくれたマデさんに
私たちsisamのスタッフも全力でこたえていきたいと思っています。

ミトラバリで働く人々は、数人の職人が集まる非常に小さな規模の工房で、
昔ながらの手作業で、工芸品をひとつひとつ作っています。
彼らが紡いできたバリ島の文化に誇りをもちながら。
そんな彼らが届けてくれた一生モノの品々。
今日も私たちの生活をきらきらと、優しく輝かせてくれています。
FAIR TRADE LIFE STORE by sisam
タニ