陽だまりを着る
一目、一目、針を動かす。
一本の細い毛糸が、一つのカタチになっていく。
手の中で美しい模様が描かれていく。
“編み仕事というのは、一歩一歩
前に進んでいる感覚になれる手仕事だと思う。”
デザイナーのワタナベはそう話します。
2020年の秋、ネパール・サナハスタカラの人々と作り始めたのは、
まとう人の笑顔を引き出すことのできる服。
しかし、服作りを始める段階では、ネパールはロックダウンがつづき
作り手も厳しい状況を余儀なくされていました。
いつも明るく溌剌としたパートナーの女性たち。
当時は電話での声にも元気がありませんでした。
“それでも、今だからこそ編み仕事を続けていくことで、
未来を切り拓いていく感覚がそこにはあったと思うんです。
私たちは止まっていない。
一目一目、一歩一歩、前に進んでいるんだという感覚。
素敵な一枚が仕上がったとき、彼女たち自身にも笑顔になってもらいたい。
そんな想いもデザインに込めました。”
この冬、かすかな春の予感とともに
3種類の手編み服が私たちのもとに届きました。
「smile」というテーマのように
ふんわりと背中を押してくれるような、柔らかな追い風。
そんな気分をまとえるよう、コットン糸を1本取りにして編み、
例年よりも軽やかに仕上げたシリーズです。
透かし編みカーディガンに描かれたのは、
まるで空に向かって植物が咲いているような美しい模様。
インナーとの組み合わせを楽しめる一枚です。
夏にはタンクトップとあわせて日除けにも。
3色の模様編みがアクセントになったプルオーバーは
なんとも軽やかな着心地。
ナチュラルで優しい色味が、季節から季節への歩みを
楽しく寄り添ってくれるはずです。
花々に包まれたようなベストには、
その技の素晴らしさにうっとりしてしまいます。
服と服の重なりを存分に楽しめる一枚で、心おどる時間を過ごしてほしい。
そんな想いを込めました。
心も身体も暖めてくれる冬のニット。
そして春のニットは、それとはまたちがう役割を持っていると思うんです。
寒空のすきまから、ふっと春の光が差し込む瞬間。
次の季節がもうすぐそこに見えてくる感覚。
私たちはそのとき、季節のわずかな変化を大切に味わい、
心と身体をときほぐすことができます。
春にまとうニットは、そんな陽だまりにも似た存在なのかもしれません。
やわらかな一着に包まれて、ふと春のほうを向く。
それはネパールから届いた、優しい陽だまりです。
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タニ
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