旅する本2
ページを開くと、旅がはじまる。
知らない風景のなかを悠々と飛び、誰かの人生や心の中に入り込んで…。
sisamのスタッフは、本で旅することをこよなく愛する人たち。
この休日、あなたに旅してほしい本を。
第2回は、商品部ミズカミが選んだ2冊。
旅の先に
「バウルを探して」(完全版)
文:川内有緒
写真:中川彰
この本を読み終わったとき、一遍の映画を観終わったような不思議な感覚に包まれたと話すミズカミ。
でもそれはファンタジーではなく、「生きる」ことへのたくさんのメッセージが自分のなかに沁みこんでくる宝物のようなドキュメントだ。
いざページを開くと、「バウル」という未知の存在を追い求めて、著者とともにバングラデシュへの旅がはじまる。
“著者は、旅の不安や好奇心、ちょっとした自分の未熟さを素直に綴っていて。
それがこの旅の現実味をぐんと引き上げているんだと思います。”
気づけば五感が研ぎ澄まされ、バングラデシュという国に自分も包まれていく。
この旅に同行してくれるバングラデシュのアラムさん。
旅の終わりに彼の放つ一言に、ぽろぽろと涙がこぼれたとミズカミは話す。
人が人と出会い、場所と出会い、
相手を知るなかで自分を知っていくこと。
その尊さが、この一冊にはごく自然に、そして温かく綴られている。
バウルは一体何を歌い続けているのだろうか。
旅の先にあるメッセージに辿りついたとき、読み手は強く胸をうたれるはずだ。
あぁこれは自分の話でもあるのだと。
この宝物のような旅路を、あなたにも歩いてほしい。
私もジャスミンのように
「めうしのジャスミン」
作・絵:ロジャー・デュポアザン
訳:乾 侑美子
5年ほど前に古本屋で見つけたスイスの絵本。
絵の色づかいに惹かれたのがきっかけだったけれど、ストーリーにも魅了された。
ジャスミンはかっこいい。
気に入った花帽子をかぶり、堂々と闊歩する。誰に何を言われようと。
自分の好きなもの、似合うものを自由にまとうこと。
周りとちがうことを堂々と享受すること。
私たちにとって、それがなぜ簡単ではないのだろう。
“私は子どもの頃、なんで人と同じじゃないといけないんだろうってよく感じていて。
もし今そういう気持ちを味わっている人がいれば、ぜひこの本を手にしてほしいなと思います。”
本を閉じたあと、不思議と少し晴れやかな気持ちになる。
この絵本に描かれたたくさんの優しい色彩と、ジャスミンの言葉が、こころの栄養になるはずだ。
今日はいつも以上に自由に、胸をはって、春の道を闊歩しよう。
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タニ