旅する本3
ページを開くと、旅がはじまる。
知らない風景のなかを悠々と飛び、誰かの人生や心の中に入り込んで…。
sisamのスタッフは、本で旅することをこよなく愛する人たち。
この休日、あなたに旅してほしい本を。
最後にご紹介するのは、商品部ワタナベが選んだ2冊。
60年の時をつなぐ
「ヒマラヤの村 シェルパ族とくらす」
著:柳本杳美
ネパールの生産者と日々ものづくりをしているワタナベにとって、
この本との出会いは、なんだか懐かしく、新しい旅になった。
綴られているのは1960年代の話。
当時大学生だった著者が、友人たちとともにヒマラヤを旅するエッセイだ。
ずいぶん昔の話なのに、このエッセイを読み進めるうちに
今まさにそこにあるような情景や感情が、自分のなかに描かれていく。
それは、今も変わらない「人」の姿があるからだ。
ページをめくるたびに待ち構えるチャーミングな絵に心を癒される。
異国の旅ならではの緊張感と、ユーモアを携えて、たくさんの出会いを重ねていく一冊だ。
そして、この本にはたくさんの「食」が綴られている。
バター茶?ヒマラヤ菜漬け?‥・ふむふむ。
想像を口のなかに移動させ、未知の料理を味わってみる。
料理で客人をもてなす優しさと温かさは、やっぱり万国共通。
今の時代にもちゃんと引き継がれていることになんだか安心する。
人生のうちに一度は訪れたいヒマラヤの土地。
でも今は、一冊の本で。
その空気を吸い込み、かつてそこに生きていた人々に触れていく。
60年前と今が、鮮やかに繋がる。
これぞ本の素晴らしさだと思う。
暮らしに風を
「種まきノート」
著:早川ユミ
“ちくちく”の師匠として、sisamスタッフにもファンの多い早川ユミさんが著者。
この本には、彼女とその周りで生きる人々の暮らしがまるごと詰まっている。
土からの恵み、生きものからの恵みを直接的に感じとり、ひたすらに手を動かし、ものを生み出す。
“今の私たちは日常のスピードが早すぎるのかもしれないなって。
ここに綴られている「豊かさ」は、人間の原点にあるもの。
それって、フェアトレードのものづくりにも繋がるメッセージがたくさんあるんですよね。”
ワタナベはこのエッセイから様々なメッセージを掬い取り、日々の大切なヒントに変えている。
人それぞれ暮らしの形があり、そこに「正しさ」なんてものはないと思う。
ただ、自分が感じているよりも、私たちはもっと選択する力を持っているのかもしれない。
自分ではない誰かの、日常の軌跡をたどって。
本から視点をあげた瞬間、あなたの暮らしに優しい追い風が吹くはずだ。
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タニ