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5つのエピソードを刺繍にしました
今年の春夏コレクション「Stand by me」は、私たちにとって新しい試みがありました。
それは「sisamと作り手」という枠を広げて、皆さまにもものづくりに参加していただいたこと。
デザインのモチーフのヒントを、募集させていただいたのです。
ーあなたのStand by me(おまもり)は何ですか?ー
この言葉から紡がれた、たくさんのエピソード。
その一つ一つから、デザイナーも思わず腕まくりしてしまうほどの優しいエネルギーをいただきました。
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その中で、5つのエピソードが、デザイナーの手のなかでモチーフとなり、
インドの女性たちにより、美しい刺繍が施されることに。
夏の空気のなか、まといたくなる5着の服。
エピソードとともに、ご紹介させていただきます。
ふる里の景色を
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ふる里の風景は、いつもそこに居て私たちを見守ってくれる存在。
一つめのエピソードには、ふる里の想いが綴られていました。
春になって桜が咲くと、「何があっても季節はめぐる。私も生きている。大丈夫だ!」と思えるそうです。
良いこと、悪いこと、私たちのなかで波打つ様々な出来事。
でもふと顔をあげると、自然はいつもそこに佇んで、
季節の巡りに私たちを静かに乗せてくれていることに気付かされます。
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そんな大切なふる里のモチーフを受け取ったのは、涼やかな半袖シャツ。
両肩と背中には、”ふる里の四季”を表現した刺繍を施して。
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後ろのワンポイント刺繍には、連なる山脈の麓に美しい草花が咲いています。
ふる里の景色を想いおこすような、どこか懐かしいモチーフに仕上がりました。
花言葉にこめて
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お客様の大切な記憶のひとかけら。
悩み多き高校時代を過ごしていた頃。
廊下ですれ違い様に、ある先生がさっと言い残していった言葉です。
「あなたはあなたであっていいから」
年を重ねた今でも、その言葉を放った時の先生の笑った表情を思い出すそうです。
何かに落ち込んだり、傷ついている時に、そんな風に声をかけてくれる人がいたらどんなに心強いだろう。
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その言葉を刺繍に込めたくて、このトップスのモチーフには同じ花言葉を持つ2つの花を選びました。
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「ありのままで」「いつもそばにいるよ」という花言葉をもつ黄色いディジーとヤナギバヒマワリ。
ひまわりに似た小さめの黄色のお花が風に揺れる姿に、
「気負わず、自然のままに」と言葉をかけられているようです。
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首元のネックラインにもお花の種をイメージした、ツブツブの刺繍入り。
フロントの繊細な花の刺繍を引き立ててくれながら、さりげなく華やかさをプラスしました。
家族の味
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幼い頃に、春と秋のお祭りで母と祖母が作ってくれた思い出の味。
おにぎりくらいある、でっかいぼたもち。
今でも元気がでないときには、スーパーで買った「ぼたもち」を食べるそうです。
でも、やっぱり祖母のぼたもちが一番美味しい。
2年前からは息子さんも加わり、ご家族4世代でのぼたもちつくりが始まりました。
昔も、今も、そして未来も、家族が輪になりながら、ぼたもちを作る風景。
その温かな空間を思い浮かべるだけで、心がじんわりとします。
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前後どちらでも着こなせる2wayトップス。
ぼた餅の材料の小豆ともち米を刺繍のモチーフに選びました。
その一つ一つが繋がり、家族の輪が出来ています。
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素朴な愛らしさを持ったぼたもち刺繍が、楽しそうに散りばめられた一枚です。
音楽の力
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今回、一番多くの方からエピソードを寄せていただいたのは、「音楽」でした。
デザイナー自身も深く共感をした、音楽の存在。
癒しであり、エールでもあり、友人であり、恋人でもある。
どんな時も私たちに寄り添ってくれる「音楽」を、一枚のワンピースに表現したいと考えました。
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ワンピースの中に散りばめられた、楽しい音が聴こえくるような楽器たちの刺繍。
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ヨーク部分は、ギターの音色が聴こえてくるような、楽しげなモチーフを。
袖と背中には、北インドの弦楽器「サロール」を。
ふわりとまとうと心が弾み、時に背中を押してくれる、そんな存在になりますように。
あの海岸へ
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最後のエピソードは、潮風の香りがこちらまで届いてくるような素敵な記憶。
中学生の頃、一人で短期間留学したオーストラリア。
お世話になっていたホストマザーが見に連れて行ってくれた「マングローブの海岸」は
今でも記憶に焼き付いている景色の一つだそうです。
霧深いマングローブの森の静けさ。
幼い瞳にうつっていた風景が、大人になった自分の中に沁み込んで
ふとしたときの心の拠り所になっています。
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そんな思い出の景色を、ロングセラーシャツのなかに、さりげなく添えました。
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背守りとして、刺繍で描かれた数センチのマングローブの木。
誰かにとっての大切な景色を、自分の大切な記憶と重ね合わせて。
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5つのエピソードの向こうには、私たち一人ひとりが持つたくさんの”おまもり”があります。
このコレクションに多くの色を添えていただいた皆さまに、改めて感謝申し上げます。
誰かのおまもりが、一枚の服を通して、また誰かのおまもりになっていく。
心強く、優しい連鎖が生まれることを願って。
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タニ