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Dear many hands 2  ≪前編≫

~拝啓、ネパールの母たちへ≪前編≫~

ネパールのフェアトレードNGO 「Sana Hastakala(サナハスタカラ)」。

ネパールの手工芸品を世界に向けて発信している彼らは、
伝統技術を守り、特に女性たちの収入や社会的地位向上を目指しています。

フェルト、手漉き紙、アクセサリー、真鍮細工、革製品、焼き物など、その技術は多岐に渡りますが
その中でも手編みニット製品の作り手は、その全員が女性。

必要な分量の毛糸を自宅に持ち帰って、子育てや家事と両立させながら編んでくれています。

彼女たちが心を込めて編んだ素敵な手編みの品々は、
私たちの暮らしのなかで、どのように息づいているのでしょうか。

そんな「私たちの日々の物語」を、作り手である彼女たちに「お手紙」として届けるこの企画。

今回は、彼女たちが編みだす”特別なぬくもり”を知る、6人の女性たちのストーリーです。
前半は3人のお話をお届けします。

身に着けてわかること

 

アンドウさんが、友人に連れられて、初めてシサム工房のお店を訪れたのは、6年前。

当時は「フェアトレード」という言葉もまだ全然浸透しておらず、
「ん?何それ?」という感じだったと言います。

初めはオーガニックコットンの話を聞いたことがきっかけで、
試しに一回着てみようと購入したのが、フェアトレードの服との出会い。

そこから手編みの服にも次第に魅かれていき、今では長年愛用している品もたくさんあります。

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“同じアイテムでも少しずつ大きさが違うということも手編みならではの好きなところ。

どれ一つ同じものがないんです。
この羊ちゃんだって、顔がぜんぶちがう。良い味ですよね。

年々、編み手の人も上手になってきているように感じます。
日本でここまで編める人はなかなかいないですよ。”

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ヒマラヤをイメージした可愛い山マークがはいったセーターは
5年前からのお気に入り。

オーガニックコットンのトップスやワンピースと重ね着を楽しみながら、
毎年、冬の日々を温かく過ごしています。

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”たまに編み目の中に細かい藁がはいっていたり。
あれを見つけるのも結構好きで面白いんですよ。

家で編んでいるときに、何かが入ったのかなとか想像が膨らんでいくんです。
編み手の暮らしも一緒に編み込まれているような、そんな素敵な感覚になります。”

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昨年購入したセーターも、編み模様が美しいお気に入りのパートナー。
まるでスキーでジャンプをしたような軽快感や楽しさを表現した一枚です。

今年の冬も、そして来年の冬も、可愛く頼もしいセーター達がアンドウさんを包み込んでくれるはずです。

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“最近では、気づけば購入する服は全てフェアトレードになっていますね。

私自身も気に入ったものを買えて、その一部が生産者の暮らしにもつながる。
そんなお互いに良いことがある仕組みってすごいと思います”

―――生産者へ伝えたいこと―――

とにかく私はいつも嬉しくなって、皆さんが作った服や小物を買っています。
温かいし、この手づくり感が好き。

柄や編み模様も本当にすごいですね。
これだけのものを編むってなるとすごい技術だと思いますし
決して機械編みでは生まれない魅力が、そこにはあります。

これからも、どんな柄やデザインのものが、私たちのもとに届くのか、
ただただ楽しみです。

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今では様々な場所で見かけるようになった、フェアトレードの商品。
アンドウさんは、「とにかく知って、まずは”使って”ほしい。」と話します。

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“耳で聞くだけではやっぱりわからないこともあります。

「フェアトレードの大切さ」を言葉だけで伝えて広めていくのは、なかなか簡単ではないこと。
その心地よさや手仕事の良さは、身に着けて初めて感じられること、わかることが大きいんじゃないかな。

手編みの衣服ももちろんですが、例えば、私のように直接肌に触れるオーガニックコットンから始めてみたり。

父にもギフトで贈ったことがあるんですが、着たときに「これ気持ち良いね!」ってとにかく気に入ってくれて。
やっぱり入口はそこなのかもしれないって思いました。

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「心地よい」、「温かい」、「涼しい」。
肌に触れて、初めて違いのわかること。
あぁこれ好きだなと思う瞬間、その理由を知りたくなる。

アンドウさんの話す”フェアトレードへの入り口”は、私たちにとって一番身近なスタート地点なのかもしれません。

 

気軽に、楽しく

福岡県北九州市にあるお店「緑々(あおあお)」さん。
そこは、雑貨、衣服、本など、素敵な一生モノが詰まった宝箱のような場所です。

店主のミヤシタさんは、シサム工房とも長いお付き合い。

手編みシリーズも、お店で取り扱いをしているだけでなく、ミヤシタさん自身が愛用者の一人でいてくれています。
7~8年前に購入したという手編みのポンチョは、実はこれが2代目だそう。
ボタンの開け閉めで、ボレロやひざ掛けなど色々な使い方ができる心強い一枚です。

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“九州という土地柄、厚手のニットをわざわざ着るということに少しハードルがあるんですが、
これなら気軽にさっと暖をとれるんです。”

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穴が開いてしまっところには、可愛いアップリケが。
持ち主の愛情が十分に伝わってくる、素敵なワンポイント。

自分で手直ししてあげながら、今でも重宝している一枚だといいます。

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“手編みってやっぱり良いんです。
同じようなデザインのものが機械編みで作られていても、不思議と違いがわかるんですよね。
手編みのほうは、丁寧に編んでも、どこか人らしさが宿るというか。

日本のようにエアコンや設備の整った場所ではないので
時には寒波のなか、手がかじかみながら作業をしている人もいると聞きます。
やっぱり人の手の力ってすごいなと思います。”

“実は日本の作家さんのブローチなどと合わせても、
手しごと×手しごとの相性ってやっぱり良いんですよ。

そんな組み合わせも楽しみながら日々使っています。”

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モノを通して、その素材のことや背景にある文化や伝統を知ることで
その国のことを知る入口にもなると、ミヤシタさんは考えています。

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“人が、人の手で生み出していく健康的なものづくりは、地球環境にもつながっていきます。
モノの背景を知ることが、自然で健全なことであるという社会になっていってほしいですね。”

ーーー生産者へ伝えたいことーーー

手間暇かけて作ってくださったものが、たくさんの方に喜ばれているということを
知ってほしいです。

「時間をかけて作る」ということは、今ではとても貴重なことになっています。
テーマや想いをのせて一つの商品をつくることは、なかなかできないこと。

どうかこの先も続けていってほしいです。

そして明るく優しい気持ちにしてくれるフェルトの小物も、いつも楽しみにしています。

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ミヤシタさんのお店には、フェアトレードやエシカルをテーマとした
センスや温かみの宿る手仕事の品々が並んでいます。

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“今は、フェアトレードやエシカルということを、
世界の話ではなく、自分ごととして考える時代になってきています。
難しく考えないで、気軽に、楽しく。

手しごとのモノは、使っていて単純に気持ちが良いですし
世界中の文化を知り、彼らとの繋がりを感じられるんです。”

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気軽に、楽しく。
私たちの生きる世界のこと、そこで暮らす誰かのことに想いを馳せる「出会いの場」を
ミヤシタさんは日々作りだしているのだと思います。

そして、このオンラインストアもそんな場所の一つでありたいと、
私自身が気持ちを新たにできたインタビューでした。

 

おばあちゃんになっても

クリスティーナさんと会ったのは、手編みの帽子がきらきらと太陽にひかる
よく晴れた日でした。

今年の夏をともに過ごした帽子は、一つ一つ少しずつサイズや形が違うものから、
自分のしっくりくるものを選んだ、愛着たっぷりの相棒。

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”毎日かぶっていたので、気づけば私のトレードマークになっています。
落ち込んでいる時や心細い日は、深めにかぶったりして、
なんだか自分を守ってくれているような、そんな心強い味方のような存在でもあるんです。”

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数年前と今では、クリスティーナさんが漠然と持っていた「モノを買うこと」への感覚が大きく変わったと言います。

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“世界に貧困があることを悲しむなかで、その事実にいつも想いを馳せるためには
なるべく安いものを買って贅沢せずに、そのお金を寄付するということが正解だと思っていました。
でもそんな時、フェアトレードの仕組みを知る機会があって、シサム工房を訪れたんです。

それまでなんとなく「買うこと=悪」というイメージだったのが、
お金の使い方、モノの買い方次第で、より良く世界がまわっていくんだなぁって。

自分が何を買うかによって、想いを馳せていた人たちの暮らしにアプローチができるんですね。

それからはちょっとずつお金を貯めて、好きな服を購入しています。

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”手編みのものとの出会いは、母親からギフトとして贈られたニット帽でした。

そんなに違いが見極められるわけではなかったけど、
「他となんとなく違う。何が違うんだろう。」って。

そしたらスタッフの人に「手編み」だと聞いて、あぁだからなのかと納得。

人が作ってるからこそ生まれる風合いなんだと思います。”

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昨年クリスティーナさんが購入したベストは、丁寧に編まれたアラン模様が全身を美しく流れるデザインのもの。

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“自分でも少し編みものをするんですが、その日の体調とか気分で、
手に力がはいってしまったりして、どうしてもぎゅっと目の詰まった固いものになってしまうんです。

あんなゆったりと柔らかく美しい模様ができるのは、
おおらかな気持ちと高い技術がないと無理なんじゃないかと思う。

編み終えるまでに、すごく時間がかかるんだろなぁって。”

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“服のタグについていた、手編みをしながら優しく微笑んでおられる女性の写真がとても印象に残っています。
こんな素敵な方が編んでくださっているんですね。

手編みの品々を眺めていたら、彼女たちの鼻歌や笑い声が今にも聞こえてくるようで
楽しくなってきます。

ーーー生産者へ伝えたいことーーー

いつも幸せを届けてくださってありがとうございます。
私は、皆さんや皆さんの編む服が、大好きです。

悲しい気持ちの時も、皆さんが一生懸命作ってくださったアイテムを身につけると元気が湧いたり、
優しい気持ちになれます。

仕事でがんばったお金をためて、少しずつ集めて、大事に着て。
そしてこれからももっと自分の生活のなかに増やしていきたいです。

そしていつか皆さんの国を訪れたいと思っています。

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クリスティーナさんは、おばあちゃんになっても今使っている手編みの品々を
大切に着続けたいと話します。

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“大学時代、モノを価格重視で選んでいたときは、
自分が飽きたりすると、「捨てる」という発想につながっていた。

でも今では「長く大切に」という、昔の自分にはなかった感覚が生まれるようになりました。”

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自分がどんどん歳を重ねていっても、そこにはいつもこの手編みのパートナーたちが共にいる。
そんなずっと先の未来のことをぼんやり想像することも一つの楽しみになるそうです。

「モノを使う」「服を着る」といった私たちの日常の行為に、
クリスティーナさんのような奥ゆきのある眼差しを加えれば、日々の時間はもっと優しいものになるのかもしれません。

 

>>後編はコチラから<<

FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
タニ

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ネパールのフェアトレード団体「Sana Hastakala」のアイテムは >>コチラから<<

2019 Autumn&Winter collection は >>コチラから<<

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