10月のコーヒーだより(仮)
コーヒーの森で見つかった野鳥を発表!
このSISAM COFFEEだよりでも何回か紹介してきましたが、私たちコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)は、日本のNPO法人「バードリサーチ」)のプロジェクト「野鳥がつなぐアジアの持続可能なコーヒー」(トヨタ財団環境助成)をサポートしてきました。
盛りだくさんな内容の2年間のプロジェクトは、ついに10月で終了となります。
このプロジェクトを率いてきたバードリサーチの神山和夫さんは、3回(2024年4月、2024年12月、2025年2月)もプロ中のプロの野鳥調査の専門家の人とともにマウンテン州のタジャンを訪れ、早朝から(4時とかに行動開始!)暗くなるまで、野鳥の調査をしてくれました。
2024年12月の調査メンバー。日本から日本野鳥の会の上田恵介さん(写真いちばん左)、大西敏一さん(いちばん右)が調査に加わりました。CGNはマイラがコーディネートを担当しました。このプロジェクトでは、日本で環境省が行っている野鳥調査「モニタリング1000」で採用しているスポットセンサス(定点調査法)という方法で調査をしました。
調査地点は、CGNプロジェクトのアグロフォレストリー・コーヒー農園13カ所とそのほか条件の違う場所を合わせた24カ所。
それぞれの地点から半径50メートル内で野鳥を観察しその種類を記録しました。
コーヒーのアグロフォレストリー植栽地で野鳥を観察するフィリピンの野鳥専門家John Bibarさん(Center for Conservation Innovations )。頼もしい助っ人です。野鳥というのは、森の中ではその姿を見つけるのはとても難しく、鳴き声から何の鳥なのかを識別することが必要なのだそうです。
2回の調査に参加してくれた大西敏一さんに伺ったところ、なんと日本国内なら数百種もの鳥の鳴き声を聞き分けられるのだそうです!
しかも、鳥の鳴き声というのは、繁殖期の求愛やつがい形成、縄張りを主張するときに用いられる「さえずり」と、それ以外の警戒や飛び立つ際に出すような単純な声の「地鳴き」に大別されるとのこと。
同じ鳥でも2種類以上の鳴き声があるということで、ということは1000以上の鳥の声ということになるのでしょうか!?
もう素人の私は口あんぐり。同じ人間とは思えません!
野鳥調査のプロ、大西敏一さん。著書「決定版 日本の野鳥650(平凡社)」その大西さんですが、フィリピンの鳥の鳴き声を聞いた経験はなく、最初の3日間くらいは聞き覚えのない鳴き声が四方八方から絡まるように聞こえてきたそうです。
しかし4日目くらいから聞き分けて識別ができるようになり、同行してくれたフィリピン人のバードウォッチャーと膝を突き合わせて図鑑とにらめっこしながら、鳥の種類を確認して記録を取ってくれました。
さすがです!
3回の調査の結果、判明した野鳥の種類はなんと112種。
時期別だといちばん多く観察できたのは、4月だったそうです。
コーディリエラ地方では乾季の終わりでいちばん気温が高く、大地も乾いている時期でした。
さて、ここで出現数の多かった鳥たちを発表します!
1位はPhilippine Bulbul (和名はチャムネヒヨドリ)
Photo by 大西敏一2位はElegant Tit(和名はシラボシガラ)
Photo by 大西敏一3位はPygmy Flowerpecker(和名はパラワンハナドリ)
Photo by 大西敏一これらはいずれも留鳥といって、1年を通してフィリピンに生息している鳥たちです。
日本野鳥の会会長の上田恵介さんも調査に参加してくれました。手に持っているのはLesser Coucal(和名はバンケン)。調査のために天然資源省の許可をとってカスミ網を使って捕獲。観察後に森に放ちました。ところで、日本からの野鳥調査員の方たちの大きな関心は、「日本からの渡り鳥が、タジャンに生息しているか?」でした。
そして、11種類の「渡り鳥」を観察できました!
ちなみに渡り鳥には夏鳥と冬鳥と旅鳥がいるそうで、春から夏にかけて日本で繁殖し、秋になるとさらに暖かい地域へ渡って越冬するのが夏鳥。
夏に北方で繁殖し、秋から冬にかけて厳しい寒さを逃れて日本へ渡ってきて冬を過ごし、春に北へ帰っていくのを冬鳥。
そして日本より北の繁殖地と冬を越す南方の地域とを往復する際に日本に立ち寄り通過していくのを旅鳥と呼ぶのだそうです。
今回観察できた11種類の渡り鳥たちが実際に日本からやってきた鳥なのかどうかを確認する術はありませんが、その可能性があるということですね。
タジャンで見つかった渡り鳥たちは以下です。みんなかわいいでしょう?
バードリサーチのサイトより(写真のうち、亜種シマアカモズ以外は日本国内で撮影されたものです)。
大西さんの大好きなコムシクイもコーヒーの森で集団でいるのを発見したそうです。Photo by 大西敏一
冬鳥のツグミも観察されました。ロシアで繁殖して、冬を過ごすためにフィリピンにやってきたと考えられるそうです。 Photo by 大西敏一 (写真は日本国内で撮影たものです)こんなかわいい小鳥たちが2000-3000キロも(ロシアからだったらもっと?)海の上を飛んでやってくるなんてとても信じられません。いったいどこにそんなパワーを秘めているのでしょうか?
もしかしたら途中で力尽きてしまう小鳥もいるかもしれませんね。
そしてようやくたどり着いたフィリピンで、羽を休めようと期待していた森が姿を消して、農薬をバンバン撒いているキャベツ畑に姿を変えていたらどんなにがっかりすることでしょう…
そうなんです。鳥たちのためにも私たちは森を守らないといけないのです。
調査チームはこんな山奥深い水のきれいな村にも足を延ばしました。中央で帽子をかぶっているのが、野鳥専門家の石田健さん。森林の研究者でもあり、タジャンの森のあり方や先住民の暮らしにも関心を持ってくれました。人間の暮らしはもちろん大事。でも、人間と野鳥が共存するための一つの提案が「アグロフォレストリーによるコーヒー栽培」なのですね。
最後にバードリサーチさんが作ってくれた、とってもかわいくてわかりやすい渡り鳥のアニメをここに紹介します。
