Harmonyに込めました
さまざまな色の国旗が、一斉に青空にはためく2020年。
いよいよ東京オリンピックの年が始まろうとしています。
でも、その前に…
時間のテープを少し巻き戻してみましょう。
時はさかのぼり、2018年の夏。
ミーンミンミンミンミィィーーー。
セミの声が響くなか、シサム工房の会議室では、デザイナーによる話し合いが始まっていました。
議題は、ずばり「2020年のコレクションテーマについて」。
2020年の春夏を彩る衣服たちを生み出すため、
核となるワードを決める大切な時間です。
生産者とともに作る一つ一つのアイテムに
どんな願いを込めたいのか。
それを手にとり、身に着けることで、
私たちの暮らしにどんな風が吹いてほしいのか…。
デザイナーたちは、そんな2年後の未来のことを想像しながら
イメージや想いを膨らませていくのです。
平和の祭典であるオリンピック。
そして生産者とともに作りだすフェアトレードの品々…。
そうして紡ぎだされたのは、「Harmony」という言葉でした。
その一つのテーマから、
インド、ネパール、インドネシア、タイ・・・世界各地で
2020年の春を迎える私たちを思い描きながら、多くのアイテムが生み出されていきます。
技術の高さに溜め息がもれる美しい手仕事、
思わずフフッと笑ってしまう可愛いアイディアや、
生地と生地の調和から生まれる特別な色彩。
それぞれの顔をもつ約150品の「Harmony」が、今年ようやく勢ぞろいします。
シサム工房で働く4人のデザイナーは、それぞれの思う「Harmony」を
世界中の作り手たちとともに形にしました。
彼女たちは、その言葉にどんな願いを込めたのでしょうか。
デザインのその先にある私たちの暮らしに、どんな景色を描いたのでしょうか。
今回は、”2020年春夏コレクション”の内側に込められた
彼女たちの想いに近づいてみたいと思います。
個性と個性
“今回のテーマが決まったとき、個性と個性が交ざり合う美しさを
手刺繍やガーゼの服で表現したいと考えました。”
そう話すのは、デザイナーのミズカミ。
“それも淡いものではなく、「強い個性」同士を合わせてみたいと思ったんです。
なので今回は、異素材の生地を組み合わせたり、
はっきりとした色彩でデザインしたものが多いですね。”
それぞれ芯のある力強い個性でも、互いのちがいを認め合い、
交じり合うことで生まれるハーモニーがある。
そんな祈りを込めたメッセージ。
ミズカミらしい心躍るデザインと、インドの作り手の技術によって
軽やかに、美しく、表現されました。
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MH ユッタリPT ※2月下旬頃販売予定
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その中の一枚は、春らしい配色とガーゼ生地が気持ち良いトップス。
ソデやスソの部分など、異なる色と素材のものをさりげなく取り入れてみました。
後ろのワンポイントの手刺繍も、毎年私たちが楽しみにしている手仕事。
刺繍の下絵は、伝統的な木彫りスタンプから選びました。
まぁるいデザインも、なんだか優しいハーモニーを感じますね。
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ネパールの手編みシリーズでおなじみの春ニットも、
個性と個性の調和をイメージした一枚。
担当のワタナベは、ネパールの作り手とともに
多様性から生まれるハーモニーを、繊細な編み模様に込めました。
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“はじめは右と左のボーダーを同じにしようと考えていたんです。
でもいざ2つの模様でサンプルを作ってもらったとき、
左右で違うのも可愛いなぁって。
最終的に、このアシンメトリーなデザインが採用になりました。”
高い技術をもつ作り手でも、一枚仕上げるのに4日間ほどかかる特別なデザインだと言います。
ボーダーは、かっちりとした雰囲気になりがちですが、
ぽこぽことした優しい印象を奏でてくれるのは、手編みゆえの味わいかもしれません。
装いから自由を
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MH 3カラーOP ※3月中旬頃販売予定
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同じ「赤」でも、少しずつ色味が異なるストライプ。
「皆がそれぞれの色をもって生きている」
ミズカミは、そんな多様性のある世界を、温かみのある生地のワンピースに描きました。
“今回は着こなしの主役になるようなデザインの服も多いです。
ちょっと自分を冒険してみたり、個性を楽しんだり。
服をまとうことで、「自由」になってほしい。
そんな願いを込めました。”
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こちらは、インドの手刷りプリントで表現された花模様。
まるで花と花が手をつないで踊っているような輪っかのデザインは、まさにハーモニー!
あぁ・・春だなぁ・・と、心にふわ~っとあたたかな風が吹くような気がします。
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シャンブレー生地のシャツワンピースの見返しにも、実はこの花柄が隠れています。
自分だけの密かな楽しみにも。
羽織で着たときに、ちらりと見えるワンポイントにも。
どう着こなすかは、自分次第です。
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SN ノヤマBeret ※2月中旬頃販売予定
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私たちは日々服を選ぶときに、色々なルールに縛られがち。
でも実は服を着ることで、逆に自分を自由に表現することもできます。
装いから自由を。
「Harmony」というテーマには、そんな私たちの願いも織り込ませました。
色とわたしのハーモニー
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OCK スクエアPullover ※2月下旬頃販売予定
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Sisam Organicを担当するキドウは、
生地の「色」に特別な想いを込めたと言います。
“ハーモニーと聞いたとき、オリンピックの鮮やかな五輪の色が目に浮かびました。
今回のコレクションにも、今までにない新しい色を取り入れたいなって。
私たちの肌の色との美しい調和。
そこで大人の女性のための「ハンサムなピンク」をと考えたんです。”
目に留まる、淡いラズベリーカラー。
ピンク系統の色は、私たちの顔にぱっと花が咲いたように
照らしてくれる力があります。
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“日本では年齢を重ねるほどに、暗い色味や落ち着いた服を着てしまいがち。
でも、大人の女性だからこそ、楽しめる色があるはずなんです。
もっと自由に、美しく。
今回のコレクションが、そんな一着をもつ第一歩になったら嬉しいなと思います。”
伝統と日常のハーモニー
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インドの伝統的な手織りの技を、私たちの生活にごく身近なものとして
溶け込ませられないか。
デザイナーのエンドウは、そんな調和を叶えてくれるショールを
この春に用意していました。
その中で、素朴な生成色に流れる極細の線が美しい一枚は
私たちが小さい頃から見慣れている「方眼紙」をモチーフにして表現しています。
“まだ寒さの残る春先にも、肩から羽織れる大判ショールを。
決して派手ではないけれど、凛とした美しさで包んでくれる一枚です。”
惚れ惚れするような繊細な手しごとを、日々の生活にさりげなく取り入れることができる。
そんなショールの魔法のおかげで、いつもの服装が、何倍も豊かなものになるような気がします。
作り手と私たちの原点
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SN ノヤマBeret ※2月中旬頃販売予定
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「手織り生地のベレー帽なんて…!最高じゃないか!」
帽子好きのスタッフからも感嘆の声があがったこの一品。
ネパールのバクタプルという町で作られた手織り生地を、
同じくネパールの縫製のプロの作り手たちが、こだわって仕上げてくれたまぁるいフォルム。
担当のワタナベは、ベレーというアイテムを「手織り生地」と合わせてみることで、
甘すぎない、素朴な可愛さをもつ印象で仕上げたいと考えました。
“今回の新しい試みで、ネパールの作り手たちと何度も意見をだしあい、
彼女たちの技術と私たちのデザインをうまく掛け合わせて、協力してできた一品。
まさに今回のテーマ「Harmony」を通して、私たちの仕事やフェアトレードの、
大切な原点回帰にもなりましたね。”
作り手とともにモノを作り、作り手とともに生きていく。
シサム工房の芯の部分には、今回のテーマがいつも息づいているのかもしれません。
暮らしに色づく模様
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服飾雑貨のデザインも担当するエンドウは、
生活のなかにある風景から、素敵な模様を生み出すエキスパート。
ハーモニーというテーマから連想する平和な世界。
そこには必ず「食べること」があります。
そこでエンドウは、私たちの生活に身近な「穀物」と「米」をモチーフに考えました。
米粒はジャポニカ米、インディカ米とが仲良く並ぶ姿に
平和への願いを込めて。
素朴な愛らしさをもったインドの木版プリントで仕上げました。
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また、ワントーンの中にも少しずつちがう色を並べたデザインバッグは、
外での時間を何倍も楽しくしてくれる一品。
可愛いパターンだなと思いながら、エンドウにモチーフを聞くと、こりゃぁびっくり。
私たちが普段なにげなく目にしている「石垣」がモチーフなんです。
“一つとして同じ形のない自然の石が、うまくバランスをとりながら美しく重なる様子。
そこにも私たちが目指すハーモニーを感じて。
実際に石垣の写真をトレースして、そのいびつな形も楽しみながらデザインしました。”
生活に溶け込む風景にも、たくさんの素敵なハーモニーが隠れている。
そんなユニークな視点をそっと教えてくれる、愛らしい品々です。
2020年を生きる私たちが、それぞれのハーモニーを心に奏でる。
海の向こうで暮らす作り手とsisamの願いを一品一品に込めて。
2020年の春夏コレクションの販売が本日スタートします。
FAIR TRADE LIFE STORE by sisam FAIR TRADE
タニ
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