CGN
Cordillera Green Network
フィリピン・コーディリエラ
コーディリエラ地方は、2000m級の山岳地帯で、多様な山岳民族が暮らしています。
かつて自給自足だったこの地方にも、市場経済の波が押し寄せ、村人たちは現金収入が必要な暮らしへと急激に飲み込まれていきました。
木々を伐採し、換金野菜を植えることで活路を見出そうとした村々では、一斉に山が荒れ、水源が涸れ、最後には売るための野菜も育てられない、という苦境に陥りました。
出稼ぎによる村の空洞化も問題です。
木を伐採してしまった地域では、まとまった雨で地すべりを繰り返し、ここ台風多発地域では命取りです。
CGNは、自然環境を守りつつ、同時に現金収入も確保することで、人々が山と共に生きられる方法を模索しながら、現地に密着した活動を行っています。
活動内容は多岐に渡り、持続可能なアグロフォレストリー(森林農法)でのコーヒーのフェアトレード事業のほか、植林、農業指導、環境教育、グリーン奨学金プログラム、スタディーツアー、国際交流の拠点となるゲストハウスの運営など、幅広く活動をしています。
アグロフォレストリーとシサムコーヒー
これ以上森林破壊が進まないよう、CGNが導入したのが、山を守りながら人々の生活向上を目指す「アグロフォレストリー(森林農法)」です。
これは、木を切ることなく、自然の木々に混じって、コーヒーなど様々な換金作物を一緒に育てることで、限られた土地から複合的に現金収入を得、森も守ることのできる画期的な農法です。
シサムのオリジナルコーヒー「SISAM COFFEE」も、この森林農法で、農薬や化学肥料を使うことなく山の木々と共に育てられています。
コーディリエラ地方は、標高が高く、昼夜の温度差、日照時間の長さなど、おいしいコーヒーが育つ条件に非常に恵まれています。
また、取り引きの方法には、買取りの最低価格を補償し、コミュニティのために使うことのできる「フェアトレードプレミアム基金」を支払いに上乗せしています。
こうしたフェアトレードの仕組みを導入することで、村人が安心してコーヒー栽培に取り組めるようになっています。
生産者のようす
コーヒー栽培事業は、もともとCGNが、植林や環境教育、土砂崩れの被災地支援などのために以前から密に活動をしてきた村で、村人たちと将来を話し合ううちに始まりました。
国内外から農業の専門家を招き、実地指導を受けながら、質の高いコーヒーの栽培を進めています。
村人のほとんどは、コーヒーだけでなく、ウリや野菜などの兼業農家で、新たな収入源としてコーヒーの栽培に期待を寄せています。
山に点在する村々では、まだまだ、必要な機材が不足しており、特にコーヒーの実から生豆に精製する機材がないため、作業に非常に手間暇がかかってしまう状況にあります。
高額な機材を買うのではなく、安く自分たちの手で作る道を探るため、CGNの支援で、コーヒー事業が進んだ東チモールへ研修に出向くなど、さらなる事業の発展に向けて一歩一歩進んでいます。
2016年 ソーシャルプロダクトアワード受賞のシサムコーヒー
コーヒーができるまで (画像クリックで拡大してご覧頂けます)
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