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ストックに光を
「めぐる」 第 2 話
「めぐる」というテーマを決めたとき、
デザイナーのミズカミが頭によぎった光景がある。
それはネパール・マハグチの工房を訪れたときのこと。
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工房では、色とりどりのたくさんのストック生地が眠っていた。
毎年服を作る際に、少しずつ残った生地たちだ。
その生地をつかって、素敵な服作りができないだろうか。
生地のカケラを余すことなく縫い合わせ、
ものの「めぐり」を心から楽しめる一着を。
そんなことをぼんやりと構想していた、2020年の1月。
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その数か月後、ミズカミは頭を抱えていた。
パートナーたちが暮らすネパールで、ロックダウンが始まったことで、
新しい服を作るための生地の手配が難しくなってしまったのだ。
でも、ストック生地なら、たくさんあるはずだ。
「今できること」が、思いもよらない形で
Stockコレクションの実現へとつながっていった。
現地が大変な状況のなか、負けじと大きな一歩を踏み出すように
新しいものづくりへの挑戦がはじまる。
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早速ネパールのパートナー・マハグチにお願いをして、どんな生地がどれくらい残っているのか
資料を送ってもらうことからがスタートだ。
生地を実際に手にとることのできない分、生地感やイメージを掴むために
現地からこまめに写真を送ってもらう。
ミズカミとマハグチのスタッフたちで
慣れないやりとりを、根気強く続けていく日々。
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この布は20mしかない…、この布はたくさんある!
ワンピース、シャツ、スカート、トップス…
できる限り無駄がなく、最大限に素敵な組み合わせを。
まるでパズルのように、一着一着、デザインが完成していく。
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いざ、縫製の段階にはいっても、まだまだネパールでは交通規制が厳しい状況。
NGOスタッフがバイクに乗って、なんとか規制をかいくぐりながら
生産者が暮らす各家庭に生地を届けていく。
受け取った女性たちは、家のなかで日々ミシンを走らせる。
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最後の最後までチームワークで作り上げた品々は、
とても温かく、素朴な色彩を放ってくれている。
誰かのため、環境のため、自分たちにできること。
それはごくごく日常のなかにある。
Stock生地の美しい存在感の奥に、
そんなささやかなメッセージが込められた。
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どれも着こなしの主役となるほど、個性と楽しさのある一枚だ。
生地と生地の出会いを存分に楽しみながら、
今日一日を、あなたに元気で過ごしてほしいと思う。
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タニ
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