コーヒーのおいしさのもとは「種」
SISAM COFFEEの森から 第10話
「SISAM COFFEE」のコーヒー豆を届けてくれている
環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」の反町さんから
現地レポートが届きました。
今回はコーヒーづくりの最初の一歩。
「種」についてのお話です。
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(コーヒーの種を一粒ずつ植えます)
コーヒーのおいしさは何で決まるのでしょうか?
沖縄など一部を除いてコーヒーノキが育たない日本では、
お店でおいしいコーヒーを選ぶ際の基準は、生産地、焙煎具合、抽出の方法などでしょうか?
こちらコーヒー生産国で、おいしいコーヒーを作るための条件は、まったく違います。
栽培地の土壌の肥沃さ、湿度や温度、日当たり、雨量、コーヒーの品種、
そして収穫の仕方とその後の加工方法、乾燥の度合いや倉庫管理のありかたなどなど、
様々な条件がコーヒーのおいしさにつながります。
(6月に植物産業局(BPI)から認証を得た私たちの苗場)
私たちのNGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」では2005年から、
先住民族の人たちの暮らす村々でアグロフォレストリー(森林農法)によるコーヒーの栽培をすすめ、
苗木の配布をしてきました。
村の自然条件によって、うまく育ったリ育たなかったり……。
失敗を繰り返しながら、農家の人たちと二人三脚で、
おいしいコーヒーを作るための様々な「コツ」を学んできました。
その中で実感しているのは、
“苗木づくりをおろそかにしてはいけない!”
ということです。
多くのコーヒー農家の人たちは、苗木をどこかで購入して、
それを自分の土地に植えています。
植えた苗木の質が良くないと、生育途中で病気にかかったり、ようやく育ったとしても
1本の木がつけるコーヒーの赤い実(チェリー)の数が少なく、
期待していたほど収穫量が伸びなかったりもします。
また、品種のわからない苗木を植えてしまうと、
販売するときに「〇〇種のコーヒー豆」ということを謳えず、商品に付加価値を付けられません。
(インドネシアの専門家の人に来てもらって苗木づくりを教わったこともあります)
コーヒーノキは最初の赤い実がつくまでだいたい3年くらいかかります。
そしてそのあと2~3年で収穫量が増えていき、ようやくコーヒーが販売できるようになり、
暮らしの助けになるようになります。
ここまで最低5年はかかるわけです。
頑張ってコーヒーノキを育ててきて5年後に、弱々しい木で思ったほど実を付けなかったり、
品種がわからずいい価格で売れなかったりしたらがっかりです。
後悔先に立たず!
(これがコーヒーの種です)
そこで、私たちは農家の人たちに自分たちで種から苗木を作ることをすすめています。
コーヒーの種って知っていますか?
そう、それはまさに「コーヒー豆」そのもの。収穫したコーヒーの実の赤い皮をむいたパーチメントと呼ばれる
殻付きのコーヒー豆が、コーヒーの「種」なのです。
先々よく育つ「種」選びが、まず苗木づくりの第一歩です。
品種のはっきりした良い種は、マザーツリーを選ぶところから始まります。
そのマザーツリーについた実だったらなんでもいいかというと、そうではありません。
数か月続く収穫期のピークシーズンに収穫した実から採取した種がいいと言われています。
さらに、コーヒーノキの真ん中あたりになっている実の種が発芽率がいいのだそうです。
その種を発芽床に丁寧に一つ一つ並べて蒔きます。
もちろん、発芽床の土壌の作り方、黒いネットで作る日陰の度合い、水やりの方法など、
すべてに「コツ」がありますが、それは皆さんがコーヒー栽培をどこかでトライするときにお教えしますね。
さて、発芽床にコーヒーの種をまいて約1カ月で、芽が出ます。
コーヒー豆を頭にのっけたコーヒーの芽は
ちょっとコミカルでなんとも可愛い姿ですね。
(双葉は丸っこくて通称「バタフライ」と呼ばれています)
執筆: 反町眞理子
Mariko Sorimachi
1996年よりフィリピン在住。
2001年環境NGO「Cordillera Green Network(CGN)」をバギオ市にて設立。
コーディリエラ山岳地方の先住民族の暮らしを守り、山岳地方の自然資源を保全するために、
環境教育、植林、生計向上プログラムなど、数多くのプロジェクトを行っている。
2017年、CGNのスタッフたちとともに、社会的企業Kapi Tako Social Enterpriseを創立。
「SISAM COFFEEの森から 1~9」は >>こちらから<<
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