12人の生産者さんのお話 番外編
毎年5月はフェアトレード月間。
先月の1か月間は、sisamのものづくりを支えてくれている生産者さんに想いを馳せる月に、
という思いから、12人の生産者さんのお話をお届けしました。
でも、まだまだご紹介しきれていない生産者さんがいます…!
ということで、今回はさらに5人の生産者さんのお話を、
「12人の生産者さんのお話 番外編」としてお届けしたいと思います。
フェアトレード月間の余韻が抜け切れていないあなたへ、さらなるあたたかさをお送りします。
ダンショバさん・ラクシュミさんのお話
Sana Hastakala(ネパール・サナハスタカラ)
ネパール語で「小さな手工芸品」という意味で、1989年から活動しているフェアトレードNGOです。
国内各地の生産者から届いた手作りの商品を、カトマンズに構える直営店で販売したり、海外に輸出することで、
生産者を支援しています。
団体の1000人を超える生産者のうち、800人以上が女性です。
編み物、織物、フェルト小物、焼き物など、その一つ一つが丁寧な手仕事でつくられています。
特に手編みのニットシリーズは、sisamのコレクションに欠かせない存在です。
ダンショバさん
1984年からニットの仕事を始めたというダンショバさん。
ニット製品をつくるだけではなく、編み物の先生役も担い、技術の継承にも務めています。
「一目一目を丁寧に編んでゆく、その作業が大好きなの」
と語る彼女は、休日でもニットの事を考えているそう。
新しいデザインを考えて編む、その積み重ねが今の彼女の技術を築き上げています。
一つの物事に長い年月をかけて取り組むことの強さを、教えてくれる彼女。
彼女のあたたかな想いとともに編まれたニットの製品が、これからも私たちのもとへと届きます。
ラクシュミさん
15歳で始めた、ニット編み。
今では、ラクシュミさんのライフワークとなっています。
カラフルな洋服に身を包み、ニット製品を編んでいる様子は、
まるで絵本に出てくる登場人物のよう。
ラクシュミさんは、夫、息子、娘の4人暮らし。
彼女がニット編みの仕事で得た収入は、自分のためだけでなく、
家族をサポートするためにも、使っていると言います。
「子ども達のいる家で仕事ができることに、幸せと嬉しさを感じています」とラクシュミさん。
日課の散歩や寺院巡りで、ほっと一息つきながら、
今日も海を越えた地に暮らす私たちのために、一目一目を大切に編んでくれています。
マリエッタさん・ジュンさんのお話
CCAP/Community Crafts Association of the Philippines(フィリピン・コミュニティクラフト)
1973年にフィリピンの首都マニラで設立されたフェアトレードNGOです。
自然素材を使った手工芸品の生産を通して、貧困の改善を目指し、各地に散らばる26グループ、900名の支援をしています。
アバカ素材のランプや帽子、カラグモイのつづらなど、地域の天然素材を活かした手工芸の技術は、私たちの暮らしを豊かでやさしいものにしてくれます。
マリエッタさん
CCAPでアバカ素材の手工芸品の生産に携わる、マリエッタさん。
長年CCAPで働いている彼女には、ずっと大切にしている考え方があります。
それは、「一生懸命に働いたら、必ずご褒美がある」ということ。
夫に先立たれ、一人で6人の子供たちを育て上げた彼女。
CCAPでの仕事で得た収入だけで、子供たち全員を学校に通わせることができ、
今ではその子供たちが、それぞれの家族のために良い仕事に就き、頑張っているのだそう。
「仕事では忍耐力が必要だったり、厳しく感じることも沢山ありましたが、これまで一生懸命に取り組んできたからこそ、
今では子ども達が立派に成長してくれて、それが私にとっての一番のご褒美になっています。」
彼女の仕事に対する熱い想いと、家族へのあたたかく愛に溢れたその気持ちが、
私たちのもとへ届くアイテムにも詰まっています。
意識して、改めて一つ一つの品物とじっくりと向き合ってみると、
今までよりさらに、その一品に対するいとおしい気持ちがこみ上げてきます。
ジュンさん
CCAPでアバカ素材の手工芸品の生産に携わる、ジュンさん。
大量の注文が来た時には、人員を手配する役割も担っています。
奥さんのマグダオンさんも、ジュンさんの仕事を手伝っていて、
二人で働いて得た収入で、4人のお子さんに教育を受けさせることができたそう。
さらには、小さいながらも、マイホームを建てることも叶えたそうです。
ジュンさんに仕事をするうえで、大切にしている考え方を尋ねると、
「皆で助け合えば、仕事は早く終わる。これを常に意識して働いています。」と教えてくださいました。
もちろん、一人でもできる仕事。
それでも互いに声を掛け合い、助け合いながら取り組めば、
スピードも早く、そして質の良い仕事ができるのかもしれません。
そうして届いたCCAPのアイテム。
ジュンさんを含む、すべての生産者さん達の協力があってこその、努力の結晶なのです。
プラディプタさんのお話
SASHA(インド・サシャ)
インドの古都コルカタで1978年に創立された、歴史と実績のあるフェアトレードNGOです。
インド東部で、特に立場の弱い女性を対象に、市場の開拓やデザインの開発に力を入れ、
技術指導や金銭的な支援も行いながら地域伝統の手工芸品を復興させてきました。
美しい手織りのショールや、木製の食器など、
手仕事ならではの不均一さと愛らしさを兼ね備えたアイテムを届けてくれています。
プラディプタさん
プラディプタさんは、織物パートやプリント生地、シルク製品の生産者さん達をまとめる、NGOスタッフさん。
1999年からSASHAで働く、ベテランスタッフさんです。
プラディプタさんご自身も絵を描くことが大好きだそうで、
写真の壁に飾られている2枚の絵画も、彼が書いたもの。
その絵に対する情熱は、毎週日曜日にご自宅で、子供たちに向けた絵画教室を開くほど。
子供たちがのびのびと筆を動かす様子から、パワーをもらっているのかもしれません。
そんな彼が大切にしている言葉を尋ねると、
返ってきた言葉は「NO!」
え、否定のNO…? びっくりした私は、ひとまず落ち着いて、あとに続く言葉に心を傾けました。
「NOっていうのはね、New Opportunity(新しい機会)という意味だよ。
この言葉を人生においても、仕事においても大事にしていて、常にポジティブにいるんだ。」
チャンスの神様はそこら中にいるけれど、新しい機会やチャンスを掴むには
まずは自分が前を向いて、その機会を探す姿勢を保っていなければいけない、と言います。
プラディプタさんの「NO!」の言葉を胸に、
今日も、前だけをまっすぐ見据えて、たまにはちょっぴり振り返りながら…
少しずつ少しずつ、出会う機会を大切にしながら、進んでいきたい。
彼の、強くもあり、やさしさのこもった言葉が、私たちに元気と勇気を与えてくれます。
「12人の生産者さんのお話 番外編」
今年の5月のフェアトレード月間は、”生産者さんに思いを馳せる月”と題して、
番外編を含めて17人の生産者さんをご紹介させていただきました。
その一人一人に、かけがえのない日々の暮らしや家族の存在があることを、
このお話を通して、感じていただくことができたなら光栄です。
この17人のように、働く生産者さんは、何百人、何千人といます。
皆さまにもっとたくさんの方をご紹介したいのですが、今回はここまで。
皆さまがお洋服や雑貨、食べ物や飲み物を選ぶとき、
その瞬間に、生産者さんの存在が少しでも思い浮かぶ、
そんなきっかけとなれていたなら嬉しいです。
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