12人の生産者さんのお話 vol.1
毎年5月はフェアトレード月間。
私たちは、公正な価格での「ものの売買」だけでなく、生産者が自尊心を持ち、自分たちの暮らしを選択していく力をつける仕組みがあることがフェアトレードだと考えています。
その仕組みの中で、sisamの大切なパートナーであり、なくてはならない存在が「生産者さん」です。
生産者と一言でまとめてしまいがちですが、立ち止まってのぞいてみるとそこには、小さな子供のお母さんや、お孫さんを溺愛するおばあちゃん、一家を守る大黒柱のお父さんなど、一人一人のかけがえのない日常があります。
今年の5月は、そんな生産者さん、ともに働くNGOスタッフ、総勢12人から届いた、それぞれの暮らしや人となりを、4回に分けてお届けしたいと思います。
「sisamの商品を作ってる○○さん、□□が好きなんだ~、私とおなじ!」
そんな声が聞こえてくる、5月のフェアトレード月間になりますように。
ヴィナさんのお話
CGN/Cordillera Green Network
(フィリピン・コーディリエラグリーンネットワーク)
SISAM COFFEEのコーヒー豆を届けてくれている、フィリピンのルソン島北部、コーディリエラ地方で活動する環境団体です。
自然環境を守りつつ、同時に現金収入も確保することで、人々が山と共に生きられる方法を模索しながら、現地に密着した活動を行っています。
山に点在する村々では、まだまだ必要な機材が不足していて、作業に非常に手間暇がかかってしまう状況ですが、
時間をかけて丁寧につくられたコーヒーは、私たちの日常に特別な美味しさをもたらしてくれています。
植物にたっぷりの思いやりを
23歳の頃から野菜農家をしているヴィナさん。
2009年に、アンスリウムという観葉植物や生姜やタロイモなどの野菜、そしてコーヒー豆の栽培を始めました。
植物は、たっぷりと時間をかけて思いやりを持って接してくれる農家を求めている、というお母さんの教えを大事にしているヴィナさん。
時間があればコーヒーの農園に行き、コーヒーの木やほかの作物に語り掛け、励ましているそうです。
sisamのコーヒー豆の、あたたかで味わい深いテイストの中には、そんな彼女の愛情もたっぷりと含まれているんですね。
シンプルに生きる
そんなヴィナさんには大事にしている考え方があります。
それは、「シンプルに生きる」ことです。
「物事を複雑にしなければ、人生はもっと楽になります。この世界には私たちが生きていくための資源は十分にあって、それをいかに賢く、そしてサステナブルに利用するかが大事なのです。いつも前向きでいられる道を選ぶことで、どんなに高い壁や苦難も難なく乗り越えられる。人生は短いのだから、そんなに深刻にならずに、ただ幸せに生きるのです。」
ヴィナさんはそう語ってくれました。
幼い頃はありのままに、思うがままに生きていたであろう私たち。
年を重ねるごとに、いろんなことを複雑に、難しく考え、生きづらくなっていたのかもしれません。
「シンプルに生きる」
気づけば忘れかけていたこと。
これからを生きる私たちの心に、ヴィナさんの言葉があたたかく寄り添ってくれるような気がします。
ナスリンさんのお話
DEW Crafts(バングラデシュ・デュークラフト)
バングラデシュの最貧困層の生活改善のために、経済や貿易の面での支援をするために活動しています。
特に手工芸の分野で、貧困家庭の女性たちの行う零細ビジネスを、フェアトレードの仕組みを使ってサポートしています。
家族が一緒で穏やかな暮らしを失わないために、生産者たちは日々の仕事に取り組んでいます。
その地の素材にこだわったジュートナベシキやホグラワイヤーバスケットなどが、私たちの暮らしにぬくもりを与えてくれます。
強く生きていく
デュークラフトで働く、ナスリンさん。
今回のコラム企画のために、インビューに答えている様子を動画で送ってくださいました。
ナスリンさんはご自分の誕生日を知りません。
生まれた場所は、バングラデシュの首都ダッカです。
デュークラフトでは、縫製パートの担当で、ミシンを使って、バッグやナベシキなどのアイテムを縫製しています。
彼女のご主人は2年前に亡くなり、今は息子さんとの二人暮らし。
デュークラフトでの仕事について、「子供に十分な教育を受けさせることができて、とても満足しています、自分で使うお金は自分で稼ぐのです」とナスリンさん。
男性に頼らずとも自分で生きていく、そんな彼女の強さが見えてきます。
「ここでの仕事はとても楽しく、働いている時間は夫の死を忘れさせてくれます」
3年半前からデュークラフトで働いているナスリンさん、仕事場で様々な人とコミュニケーションを取りながら仕事に取り組んでいます。
時には、工房へ顔を出してくれるご婦人たちと、楽しいひと時を過ごすのだそう。
彼女たちの楽しい笑い声や会話が聞こえてくる仕事場は、明るく楽しい雰囲気なんだろうなぁ。
自分のため、そして息子さんのために働く彼女。
「日々を暮らすことに精いっぱいで、何か楽しいことをする時間はあるのかな…」
生産者さん達に想いを寄せたとき、時々不安になってしまう私たち。
働いて得た収入を、家賃の支払いや日用品を購入するだけでなく、好きなサンダルを集めることにも使っていると、
少しはにかみながら話す彼女の表情は、見ているこちらまで笑顔に、そして安心させてくれます。
インタビューの全編はこちらから↓
リタさんのお話
SASHA(インド・サシャ)
古都コルカタで1978年に創立された、インド有数の歴史と実績のある団体です。
インド東部で、特に立場の弱い女性を対象に、市場の開拓やデザインの開発に力を入れ、
技術指導や金銭的な支援も行いながら地域伝統の手工芸品を復興させてきました。
美しい手織りのショールや、木製の食器など、
手仕事ならではの不均一さと愛らしさを兼ね備えたアイテムを届けてくれています。
善い行いは自分に返ってくる
織物パートのマネージャーのリタさんは、織物を担当する生産者達をまとめる、NGOのスタッフさん。
2010年からサシャで働いている、ベテランスタッフです。
リタさんは休日を使って、ボランティア活動に取り組んでいます。
その活動は、貧しい人々のために食料や薬を配ったり、地域の家庭内で起きている問題の解決の手助けをしたりなど、多岐にわたります。
時には、金銭的な問題で学校に通うことのできない学生に、教科書や授業料の援助もするそうです。
「善い行いはいずれ自分に返ってくる。そしてそれが自分の人柄となる。」
周りの人が困ったとき、助けの手を差し伸べれば、その行いが自分の身にもいつか返ってくる。
そして、自分の人柄も善いものへとなっていく、とリタさんは教えてくれました。
この考え方をもとに、リタさんは家族や友人に関わらず、周りにやさしい手を差し伸べているのですね。
「家族が精神面や身体面でサポートしてくれるので、とても幸せです」とリタさん。
やさしさの輪が彼女の周りには広がっているんだな、とこちらまであたたかな気持ちになります。
これからも遠く離れたインドから、リタさんのやさしさとともにアイテムを届けてくれるのを心待ちにしています。
12人の生産者さんのお話。
他の生産者さんのお話は、vol.2に続きます。
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