わたしと手しごと vol.1
「ものづくり」の世界からだんだんと手しごとが衰退し、機械化が進んでいる今。
人の手によってつくられるモノが少なくなる中で、人と人との繋がりも薄くなっているように感じます。
それでも、今もなお私たちの日々にあたたかく寄り添ってくれる手しごとの存在。
sisamの手しごとだけに留まらず、今でも多彩な手しごとが私たちのなかで息づいています。
10月に実施した「あなたの手しごとを教えてください」アンケート。
とてもありがたいことに、沢山の方から心温まる手しごとエピソードが届きました。
アンケートにご協力いただいた皆さまへ、この場をお借りして感謝をお伝えします。
今回のコラムでは、その中から4名のお客様とsisamスタッフの「手しごと」をご紹介します。
皆さまに、手しごとのぬくもりが届きますように。
心が落ち着く手しごと
「単純作業を繰り返すことで心が落ち着き、特別な思いを込めることができるもの。」
香川県に暮らすSさんは、手しごとの存在についてこう教えてくれました。
彼女のそばには、幼い頃からたくさんの手しごとがありました。
母、姉、Sさん。さらにはいとこも色違いで着ていたという手編みのセーター。
母が編んでくれたセーターのあたたかさは今でも心に残っています。
デザインの美しさが自慢で、誰とも被らない自分だけの一着。
母の愛情がこもったアイテムを着るときの嬉しさは、ずっと忘れられない大切な思い出です。
幼い頃、母が作ってくれたパッチワークのバッグも思い出の品。
デザインや配色が綺麗で捨てられず、今でも物入れとして使っています。
左が愛猫のジャムちゃん張り子
幼い頃から手しごと品に囲まれていたSさん。
今ではSさん自身もものづくりに取り組んでいます。
地元香川の伝統工芸である高松張り子に惹かれ、まずは張り子を作ってみることに。
愛猫ジャムちゃんをイメージして作った張り子は、やわらかな曲線で表現され、やさしい印象にできあがりました。
友人の愛犬ココちゃんが亡くなったときには、ココちゃんを近くに感じてほしいと友人に張り子を贈ったそう。
ペットを失う悲しみは癒えませんが、少しでも慰めになればと思い作りました。
また、手編みでもたくさんの作品を。
幼い時に母にしてもらったように、今度はSさんが家族のために手編みのアイテムを作っています。
寒い季節にSさんの手しごと品を身に着ければ、身も心もあたたかな気持ちに包まれるんだろうな。
大切な家族の一員であるジャムちゃんには、手編みでつくったマットを。
一目一目丁寧に編まれたマットの上で、くつろぎモードのジャムちゃんです。
コロナ禍で家族も検査を受けることになったとき、不安な気持ちを落ち着かせるためにひたすら作っていた折り紙のくす玉。
単純作業を繰り返すことで心を落ち着かせてくれる手しごとは、不安や心配事があるときにもやさしく寄り添ってくれるのだそうです。
Sさん一家にとって、手しごとは家族への愛情を伝えるための一つのツールなのかもしれません。
「あなたを大切に想っています。」
言葉にするのはなんだか照れくさいけれど、手しごとを通してならさり気なく伝えることができます。
Sさんの手から生まれるさまざまな愛の形が、
これからも家族が共に手を取り合って進んでいくためのお守りになっていくのだと思います。
日々の暮らしに手しごとを
「手しごとは人の温かみを感じることのできる、とても幸せで嬉しいものです。」
そう語ってくれたのは、兵庫県に暮らすNさん。
Nさんは、モノは私たちをサポートしてくれるといいます。
その生産背景を知ることで、作り手をより身近に感じてパワーをもらうことができます。
そんなNさんとフェアトレードの出会いは、30歳を超えて少し余裕を感じられるようになったとき。
世の中に溢れるとても安価な商品の価格に疑問を抱いたそうです。
「こんな安い商品で、作り手の人はきちんと収入を得られるのだろうか…」
そう思った時、消費者側も作り手の生活に想いを馳せて、
生産背景にも目を向けた商品を選ぶ必要があるのではないかと考えました。
そうして手にとったフェアトレードの手しごと品。
毎日の通勤に、sisamのバッグやアームウォーマー、ネックウォーマーを愛用しているんだそう。
インドの職人が一色ずつ丁寧に色をのせていくブロックプリントのバッグや、
ネパールの女性たちが一つ一つ手編みでつくったニット小物。
作り手が商品に込めた思いを受けとり、何気ない日常の中にその温度を溶け込ませていくNさん。
日々たくましく生きる作り手の、手しごとに対する愛情や熱意がモノを通して私たちに伝わるとき。
一日一日に意味を感じながら生きる大切さに気づくことができるのだと思います。
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